【働き方改革関連法】介護業界の課題は?-三幸福祉カレッジ

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2019.12.16お役立ち情報
【働き方改革関連法】介護業界の課題は?


『働き方改革法』ニュースでよく聞きますが、どの程度理解されていますか?
 
働き方改革法は、今年度より、順次「働き方改革関連法」が順次施行され、事業主は対応が必要になっています。
また、働き方改革と併せて、介護業界の課題についても考える必要があります。
本記事では、働き方改革法案について、簡単にまとめ、次に介護業界の課題を記載してきます。
 

そもそも働き方改革って?

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働く方々がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、
長時間労働の是正多様で柔軟な働き方の実現雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講じるものとされています。
 
2019年4月1日より、働き方改革関連法が順次施行されています。
 

働き方改革関連法によって変わること

本日は、3つのポイントを説明します。
 

1、年次有給休暇の確実な取得

   2019年4月1日~  
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まずは、年次有給の取得に関する規定です。
こちらは、すでに2019年4月1日より施行されているため、全事業主がルールを守る必要があります。
 
全ての 企業において、年 10 日以上の年次有給休暇が付与される 労働者(管理監督者を含む)に 対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました 。
 
今まで、有給があっても取得できないという状況にあった事業所は要注意です。
今年度からは、必ず取得させなければならないのです。
 
労働者が5日以上、自らの届け出により有給休暇を取得している場合は、問題ないのですが、そうでなけれは、事業主が労働者に対し、時季を指定し、有給休暇を取得させなければなりません。
また、 時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければなりません。
 
3月末になって、有給休暇の取得日数が5日に満たない従業員がたくさんいれば、シフトが回らなくなってしまいます。それでも、法律上は有給休暇を取得させなければなりません。
 
特に、介護業界においては、365日動いている現場が多いため、まとめて複数人が有給休暇を取得するのは、現実的ではないかと思います。
 
そうならないためにも、時季を指定し取得させるほうがよいでしょう。
 

≪よくある質問≫
Q、年次有給休暇が10日未満の労働者はどうなるのか。
A、この法案の対象にはなりません。
 
Q、4月1日に入社し、年次有給休暇の付与が9月1日の場合はどうなるのか。
A、1年以内に5日以上の有給休暇を取得させる必要があるため、5日以上取得させなければならない期日が翌年8月末となります。

 
まだ、今年度の有給休暇を取得していない方は、要注意です。
 
3月末になって慌てないように、事業所と相談して早めに有給休暇を取得してください。
事業主も、労働者の有給休暇取得状況を管理していく必要があります。
 
 

2、時間外労働の上限規制の導入

   2019年4月1日~(中小企業は2020年4月1日~)  
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時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、
臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働含む)を限度に設定する必要があります。
 
「あれ?今までのルールと変わりないのでは?」と思われた方へ。
 
今までは、告示として定められていたものが、今回の改正により、罰則付きの上限が法律に規定され、さらに、臨時的な特別な事情がある場合にも上回ることのできない上限が設けられました。
 
そして、あわせて労働安全衛生法の改正により、管理監督者やみなし労働時間制が適用される労働者についても、労働時間の状況 について把握しなければならないこととなりました。
 
今までは、管理職だからという理由で、労働時間を記録していなかった方も、本改正により、労働時間の管理が必要になったのです。
 
労働時間の状況の把握は、タイムカードによる記録、 PC 等の使用時間の記録等の客観的な方法や使用者による現認が原則となります。
 
中小企業については、2020年4月1日からの導入となっていますが、あと数ヶ月です。
管理者の労働時間管理については、見落とされがちのため、まだの事業所は早めに取り入れていったほうがよいでしょう。
 
 

3、同一労働同一賃金

   2020年4月1日~(中小企業は2021年4月1日~) 
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同一企業内において、正社員と非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されます。
 
また、ここでいう待遇とは、給与だけではなく、福利厚生や教育訓練にも及びます
 
非正規社員の方は、正社員との間の待遇差について、事業主に説明を求めることができます。
 
事業主は、その待遇差に対して、不合理でないことを説明できなければなりませ
ん。
たとえば、賞与額の差に対し、「将来の役割期待が違う」というような抽象的な理由では、不合理でないことの説明とは言えないとされています。
職務内容や配置の変更範囲等、客観的・具体的な理由を説明できる必要があります。
 
どのようなケースが問題になって、どのようなケースが問題にならないのかは厚生労働省のガイドラインで示されています。
▼同一労働同一賃金特集ページ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000144972.html
 
中小企業については、1年の猶予期間があり、2021年4月からの導入とされていますが、現在の状況を整理し、今後の対応を考える必要があるため、早急に見直しを進めていく必要がありそうです。
 

介護業界における課題は?

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ここまで、働き方改革について、記載してきましたが、実際の介護業界ではどうでしょうか。
人が尊厳を保持し、その人らしい日常生活を送り続けるためには、介護業界は欠かせない存在です。
介護業界が利用者やその家族からの期待に応えつつ、存続していくためには、働き方改革とあわせて人材確保等の課題があります。
介護人材対策のため、厚生労働省老健局にて、「介護現場革新会議」が開催され、介護施設等における人材確保・定着、介護現場のイメージ改善・活性化などについて専門家による情報共有や議論が行われています。
2019年3月に公表された「介護現場革新改革基本方針」のなかでは次の3つの項目が挙げられました。

(1)人手不足の中でも介護サービスの質 の維持・向上を実現するマネジメントモデルの構築


介護の仕事は、身体介護・機能訓練・見守り・家族とのコミュニケーションなど非常に多岐にわたります。
まずは、これら業務をすべて洗い出した上で、業務の切り分けを行います。
たとえば、
・経験のある専門職がやる業務
・他の専門職がやる業務
・専門職でなくてもできる業務
等に分類していきます。
切り分けを行うことで、それらに応じた人材の配置や、人材の採用が可能になります。
また、どの業務でICTやロボットを活用できるかも明確になります。
結果、専門職が業務に専念できるため、介護サービスの質の向上につながるということです。

(2)ロボット・センサー・ICT の活用

96322f982772ca9cffb94b5cb23da3cb_s介護職員の負担を軽減し、サービスの質の向上につながていくことを目的に、ロボット・センタ・ICTの活用が進められています。
ロボット・センタ・ICTの導入にあたっては、費用だけでなく、事前の準備や導入後のフォロー等が重要になりますので、事業所単位では取り組みにくいこともあるかもしれません。
しかし、「見守りセンサー」「インカム」「タブレット」等の活用は、介護の質の向上介護職員の負担・ストレス軽減が期待されるため、導入している事業所も多く、さらなる普及が推奨されています。
 

(3)介護業界のイメージ改善と人材の確保


介護業界の人材確保というとどうしても、離職理由に注目されがちです。
離職理由のNo1は「職場の人間関係に問題があったため」。次に、「結婚・出産・妊娠・育児のため」「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」と続きます。
もちろん、これらの原因を乗り除くべく、職場環境の改善を行う必要があります。
しかし一方で、長く働き続けている方もいます。介護職は、人と人との繋がりを感じられる魅力があり、仕事へのやりがいや達成感を感じている方も多くいらっしゃると思います。
これらについて、発表をする機会を設ける等して、職員のモチベーションを向上させることも必要なのではないでしょうか。
新規人材の確保という観点からは、中学校・高等学校の進路指導との連携に注目されています。また、幼少期から高齢者と交流できる場を設けていくことも重要です。
 
 
一部の地域では、これらの方針を受け、関係団体と厚生労働省が一体となって具体的な取り組みがパイロット事業として開始されます。
 
働き方改革とあわせて、これらの課題に取り組み続けていくことで、介護の仕事の魅力が向上していくのではないでしょうか。
 
また、介護業界全体として取り組むべき課題も多く、いままで以上に、より横のつながりも重要となりそうですね。
 
 

参考ページ

本記事は、厚生労働省のホームページを参考に作成いたしました。
詳しい情報やリーフレットはすべて厚生労働省のホームページからダウンロードすることができます。
各種相談窓口も設置されていますので、ぜひ確認してみてください。
 
▼働き方改革特設サイト(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/
↑簡単にわかりやすく説明されているページです。概要をつかむのに最適なページです。
 
▼「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322.html
↑導入の経緯等も詳しく知ることができます。
 
▼「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
↑リーフレット等が掲載されています。各法律について、詳しく知ることができます。
 
▼介護現場革新会議(厚生労働省ホームページ)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken_520284_00001.html
↑介護現場革新会議の資料が掲載されています。

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