高齢者介護施設で働く職員ができる感染症予防対策【まとめ】-三幸福祉カレッジ

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2020.03.16お役立ち情報
高齢者介護施設で働く職員ができる感染症予防対策【まとめ】

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高齢者介護施設は、感染症に対して抵抗力の弱い高齢者が多く生活する場所だからこそ、そこで働く職員も「うつさない」「うつらない」対策をすることが大切です。
 
最近は新型コロナウイルスの影響で、感染症への予防対策が多く取り上げられていますが、高齢者の多い介護施設に関しては、一時的な注意だけではなく年中対策を行わなければなりません。
 
今回の記事では、高齢者介護施設で働く職員ができる感染症予防対策について、詳しくお伝えします。
 

感染症はどのように発生するのか

感染症は何もないところに突然現れるわけではなく、①病原体(感染源)②感染経路 ③宿主、この3つの要因が揃うことで感染すると言われています。
 
したがって、それらの要因を1つでも取り除くことが感染拡大防止には重要であり、職員が心がける対策にもつながります。
 

  • ・感染経路の遮断
  • ・病原体(感染源)の排除
  • ・宿主の抵抗力の向上

 
なかでも、「感染経路の遮断」は最も重要な対策であるため、現場で働く職員はどのような対応が望ましいのか、もう少し細かく見ていきましょう。
 

感染経路を遮断するために行うべきこと

高齢者介護施設において感染経路を遮断するためには、下記3つの配慮が大切だと言われています。
 

  • ・病原体を持ち込まないこと
  • ・病原体を持ち出さないこと
  • ・病原体を拡げないこと

 
 
職員は、入所者と接する時間が長いため、特に注意が必要となりますが、具体的にどのような対策ができるのでしょうか。
 

感染源となる可能性のあるものには直接触れない

 
嘔吐物や排泄物・血液などには、感染症の原因となる微生物(細菌、ウイルス等)が含まれている可能性があります。
したがって、これらに触れる可能性のある場合は、必ず下記のような対応策をとりましょう。
 

具体的な場面と対応策

 
・血液、体液、排泄物、感染性廃棄物などに触れるとき
→手袋の着用
 
・血液、体液、排泄物等が飛び散る可能性があるとき
→手袋・マスク・エプロン・ ゴーグルの着用
 
・針刺しの防止
→リキャップの禁止。針捨てボックスに直接廃棄する
 
※手袋等を外した時は必ず手指消毒を行うこと
 

高齢者介護施設で注意すべき主な感染症

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免疫が低下している高齢者が多く生活する介護施設では、特に流行しやすい感染症があります。
 
これらの感染症は、施設内で新たに発生するというケースは少なく、主に施設の外で誰かが感染し、ウイルスを持ち込むことで広がっていることがわかりました。
 
したがって職員だけでなく、新規入所者(短期入所サ ービス、通所サービス利用者も含む)、面会者、ボランティア、実習生なども、感染症の病原体を施設の外部から持ち込まないよう、予防を徹底することが大切です。
 

①インフルエンザ、感染性胃腸炎など

 
入所者だけでなく、職員にも感染が起こりやすい感染症であるため、施設全体に広がる集団感染の危険性が高くなります。
インフルエンザのほか、ノロウイルスや腸管出血性大腸菌感染症、疥癬、結核なども注意が必要です。
 

②薬剤耐性菌による感染症

 
健康な人に感染をする可能性は低いものの、免疫が弱っている高齢者が発症すると治療が長引き、ときには死に至ることもあります。
薬剤耐性菌は高齢者施設などで大規模な集団発生を起こす可能性があるため、そのような事態が起きないよう対策を行って予防に努めなければなりません。
 

③B型肝炎、C型肝炎など

 
基本的に、集団感染する可能性は低い感染症ですが、血液や体液を介して感染するため、注意が必要です。
 

正しい手洗い・消毒の方法

STEP1:石鹸と流水による手洗い

 
目に見える汚れがついている場合は、「液体石けんと流水による手洗い」を行います。
 
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STEP2:手指の消毒

 
一般的にはエタノール含有消毒薬を使って、手指消毒を行います。
特に入所者をケアする前後や入所者の物品に触れた後は忘れずに徹底しましょう。
 
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4つの感染経路別にできる予防対策

ウイルスは、主に4つの経路で感染すると言われています。
 
①接触感染
②飛沫感染
③空気感染
④血液媒介感染等
 
感染経路によって、それぞれの予防策がありますので、自分の身を守るためにも職員は必ず下記の予防策を遵守しましょう。
 
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①接触感染に対する予防策

 
・ ケア前後に手洗いを徹底する
・ ケア時は、手袋を着用する
・ 汚染物との接触が予想されるときは、ガウン着用
・ 周囲に感染を広げてしまう可能性が高い場合は、原則として個室管理もしくは同病者との集団隔離とする
 
※同じ人のケアでも、便などに触れる場合は手袋を交換しましょう
※ガウンを脱いだあとは、衣服が環境表面や物品に触れないように注意しましょう
 

②飛沫感染に対する予防策

 
・ ケア時には必ずマスクを着用する
・ 入所者にも、原則としてマスク着用をしてもらう
・ 原則、個室管理もしくは同病者の集団隔離とする
・ 隔離管理ができないときは、ベッドの間隔を2m以上あける、もしくはベッド間をカーテンで仕切るなどの対応を行う
 

③空気感染に対する予防策

 
・ 介護施設ではなく、入院による治療が必要
・ 病院に移送するまでの間は、原則として個室管理
・ 結核で排菌している患者と接触する際は、職員は高性能マスク (N952等)を着用すること
 

④血液媒介感染予防策

 
・ 血液に触れるリスクのある処置の場合には、血液が触れないよう手袋やガウンを着用すること
 

【まとめ】感染症を予防するために職員が行えること

  • ・施設に入る時やケア前後の手洗い・手指消毒
  • ・咳やくしゃみをしている場合のマスク着用
  • ・血液や嘔吐物、排泄物等を扱うときは手袋を着用
  • ・飛び散る可能性のある場合は、ガウン等を着用
  • ・入居者の部屋や環境の整備

 
 
上記に加えて、普段から健康管理を心がけることも大切です。
自身の免疫力を高めることは、ウイルスを跳ね返す1番のエネルギーとなるため、十分な睡眠時間やバランスの良い食事を摂りましょう。
 
もし感染症にかかってしまった場合に、しっかりと休むことができる職場の環境づくりも必要です。
 
 

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