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- 2025.07.10お役立ち情報
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外国人が介護福祉士国家試験を受験するには?合格率やスケジュールを解説
日本の介護現場では、外国人の力がますます求められています。そんな中、外国人が「介護福祉士」として国家資格を取得し、長く安定して働く道も広がっています。
そこで今回は、外国人が介護福祉士国家試験を受験するための要件や合格率、スケジュールなど、採用を検討する施設長の方に役立つ情報を詳しく解説します。
外国人介護士の受け入れの状況
日本では少子高齢化が進み、介護の現場では深刻な人手不足が続いています。そんな中、外国人介護士の受け入れが急速に広がっており、介護の現場を支える大切な存在として期待されています。
政府もこの流れを後押ししていて、外国人が日本で介護の仕事をしやすくなるよう、制度の整備が進められています。
外国人が介護の仕事をするための主な制度
- 特定技能1号:介護の知識と日本語力を持つ外国人が、日本の介護施設で働ける制度です。最大5年間働くことができ、介護福祉士の資格取得も目指せます。
- 技能実習制度:日本の介護技術を学びながら働く制度で、実習を終えた後に特定技能へ移行することも可能です。
外国人介護士が介護福祉士国家試験を受験する方法
外国人介護士が介護福祉士国家試験を受験する方法は、入国ルートによって異なります。特に多い「特定技能」や「技能実習」からの実務経験ルートを中心に、それぞれの要件や受け入れ実績などをわかりやすく解説します。
①実務経験ルート(特定技能・技能実習)
外国人が日本で 介護福祉士国家試験の受験資格を得るために、一定期間の実務経験を積むルートのことです。主に以下の2つの在留資格が対象です。
特定技能1号:介護の知識と日本語力を持つ外国人が、日本の介護施設で働ける制度です。最大5年間働くことができ、介護福祉士の資格取得も目指せます。
技能実習制度:日本の介護技術を学びながら働く制度で、実習を終えた後に特定技能へ移行することも可能です。
受験資格の要件(共通)
- 実務経験3年以上
- 実務者研修の修了
- 介護福祉士国家試験の合格
介護福祉士国家試験を合格することで、外国人も日本人と同様に介護福祉士として働くことが可能になります。
特に特定技能で入国する外国人は年々増加しており、2024年8月末時点で、39,000人を超えています。
法務省「第1表 主な国籍・地域別 特定技能分野別 特定技能1号在留外国人数」
https://www.moj.go.jp/isa/content/001434838.pdf
厚生労働省 社会・援護局「技能実習『介護』における固有要件について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000995757.pdf
厚生労働省「厚生労働省 東海北陸厚生局」
https://www.pref.aichi.jp/uploaded/life/576455_2649215_misc.pdfhttps://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001090473.pdf?utm_source=chatgpt.com
②EPAルート(EPA介護福祉士候補者)
EPA(経済連携協定)ルートは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国と日本の協定に基づき、母国で介護や関連教育を受けた候補者が、日本で介護福祉士国家試験を目指しつつ就労・研修する制度です、来日前研修や訪日後の日本語・介護導入研修を経て、原則4年間介護施設で実務を積むことにより国家試験受験資格を得て、合格後は介護福祉士として日本で継続就労が可能です。
EPA介護福祉士候補者の受け入れは、2008年に制度が開始されて以降、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国を対象に実施されています。2024年度までの累計数は、インドネシアが3,491人、フィリピンが3,105人、ベトナムが1,669人で、合計8,302人にのぼります。
受験資格の要件(共通)
- 候補者は母国での一定水準の看護、介護教育を修了し、日本語能力はベトナムがN3以上、インドネシアとフィリピンがN3〜N4程度が求められます
- 日本での受け入れ施設には、研修体制や報酬の適切性など厚生労働省や法務省告示に基づいた基準の順守が必要です。
厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/gaikokujin/other22/index.html
厚生労働省「経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れ概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/001497609.pdf
③養成施設ルート(在留資格「留学」)
外国人が在留資格「留学」で日本国内の介護福祉士養成施設に通い、卒業後に国家試験を受験するルートです。日本語学校を経て入学し、2年以上の課程を修了することで、国家試験の受験資格を得られます。
日本介護福祉士養成施設協会「介護福祉士養成施設における外国人留学生受入数の推移等」
https://kaiyokyo.net/news/r3_foreign_students.pdf?utm_source=chatgpt.com
養成施設ルートの受け入れは年々拡大しており、2021年度には2,189人の外国人留学生が介護福祉士養成施設に在籍していました。
介護福祉士国家試験には複数の受験ルートがありますが、現在は「実務経験ルート」で働きながら受験を目指す外国人が多数を占めています。特定技能として入国した場合、5年以内に合格する必要があるため、生活支援だけでなく、学習や試験対策の支援体制も非常に重要です。
外国人の介護福祉士国家試験合格率
外国人が介護福祉士国家試験に合格するためには、介護の専門知識に加えて、相当な日本語能力が求められます。
第37回介護福祉士国家試験における全体の合格率は78.3%と高い水準を示しましたが、外国人の中でも「特定技能1号」の受験者の合格率は33.3%、「技能実習」からの受験者の合格率は32.3%と、全体と比べて大きく低い結果となっています。
これは、試験内容自体が高度な専門用語を含んでおり、文章の読解力や微妙な日本語表現の理解力を必要とすることが背景にあります。
厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者・合格率の推移」
https://www.mhlw.go.jp/content/12004000/001457250.pdf
日本の介護現場では、外国人介護士の活躍がますます広がっています。しかし、介護福祉士の国家資格を目指す外国人にとって、試験に合格するまでの道のりは決して簡単ではありません。介護の仕事は、実際の現場での経験も大切ですが、国家試験では専門的な知識が求められます。そのため、試験対策としての学習環境がとても重要です。多くの外国人は、仕事をしながら勉強をしています。時間が限られているうえ、日本語の理解が難しいことで、試験本番で力を発揮できないこともあります。特定技能1号や技能実習の在留資格では、日本に滞在できる期間は原則5年間。その間に国家試験を受けられるのは最大2回だけです。もし不合格になると、母国に帰らなければならない可能性もあり、試験へのプレッシャーはとても大きいです。
特に介護の専門分野においては、実際に現場経験だけでは補えない知識が多く含まれており、試験対策としての学習環境が重要になります。しかし、多くの外国人受験者は、仕事をしながら限られた時間で勉強を進めているのが実情です。加えて、日本語の壁が大きな負担となっているため、知識を十分に持っていたとしても、本番でその力を十分に発揮できないケースが多くあります。
また、制度的な問題として、特定技能1号や技能実習などの在留資格では、原則として日本に滞在できる期間は5年間とされており、その間に国家試験を受けられる機会は最大で2回しかありません。これは非常に限られたチャンスであり、もしその2回で不合格となれば、母国への帰国を余儀なくされます。そのため、一回の試験にかかる重みが非常に大きく、精神的なプレッシャーも少なくありません。
外国人職員が安心して勉強できるように、職場での支援が求められています。たとえば以下のようなサポートも有効です。
- 勤務時間内に学習時間を設ける
- 日本語と介護知識を同時に学べる環境をつくる
- メンタル面のサポートを行う
今後、外国人介護士の受け入れがさらに進むと予想される中で、ただ人手不足を補うだけでなく、資格を取得して長く働いてもらうための体制づくりがとても重要です。
国家資格の取得は、外国人にとってキャリアの大きな節目です。それを支援することは、職員の定着率や介護サービスの質の向上にもつながります。
介護福祉士国家試験受験までのスケジュール (実務経験ルート)
特定技能や技能実習として入国をしている外国人の方は、実務経験ルートで介護福祉士国家試験を受験します。
実務経験ルートは、実務経験3年以上と実務者研修の修了で受験することができます。
実務経験が3年必要なので、その期間中に実務者研修を受講することが重要です。早めに受講することで、国家試験の内容に慣れ、合格に向けた準備がしやすくなります。
ただし、2年以上働くと、専門実践教育訓練給付制度を利用できる可能性があります。
この制度を使えば、実務者研修の受講費用が最大80%支給されるため、経済的な負担を軽減できます。
そのため、受験する方は、入国から3年目に実務者研修の受講と介護福祉士国家試験を受験します。
実務者研修の受講と国家試験の勉強が重なると、とても負担になるため、計画的に受験までのスケジュールを組んであげましょう。
以下は、実務者研修と国家試験手続きのモデルスケジュールです。
特定技能や技能実習の在留資格では、日本に滞在できる期間は原則5年間。
その間に国家試験を受けられるのは 最大2回 だけです。
つまり、1回1回の試験がとても重要で、しっかりとした準備が必要です。
三幸福祉カレッジ「外国人の介護福祉士を目指す外国人介護士をサポート」
https://www.sanko-fukushi.com/course/jitsumu/gaikokusupporthojin/
まとめ
今回は、外国人が介護福祉士国家試験を受験するための要件や合格率、スケジュールなど、採用を検討する施設長向けに詳しく解説しました。
試験合格には日本語能力と介護知識の両方が求められ、受験機会が限られているため、効率的な学習とサポート体制が不可欠です。三幸福祉カレッジなどのスクールを活用することで、働きながら必要な研修や試験対策を進めやすくなります。
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