- 介護コラム
実務者研修を修了すれば喀痰吸引はできる?必要な研修・手続きをわかりやすく解説

実務者研修を修了すれば、喀痰吸引ができるようになると思っている人もいるのではないでしょうか。また、実務者研修と喀痰吸引等研修の違いがわからず、どちらを受講すれば良いか迷う人も少なくありません。
結論からいうと、実務者研修を修了しただけでは喀痰吸引はできません。喀痰吸引を行うには、別途必要な研修や手続きがあります。
この記事では、実務者研修と喀痰吸引等研修の違い、免除される内容、費用や喀痰吸引を行えるようになるまでの流れをわかりやすく解説します。
目次
実務者研修を修了しただけで喀痰吸引はできる?

結論からいうと、実務者研修を修了しただけでは喀痰吸引はできません。
実務者研修では、医療的ケアとして喀痰吸引や経管栄養に関する知識や演習を学びます。そのため、喀痰吸引等研修の基本研修の一部が免除されます。
一方で、実際に喀痰吸引を行うためには、実地研修や認定に関する要件を満たす必要があります。また、勤務先の体制や登録状況も関係します。
そのため、実務者研修を修了している場合でも、必要な研修や手続きを確認したうえで準備を進めることが重要です。
実務者研修と喀痰吸引等研修の違い

実務者研修と喀痰吸引等研修は、どちらも介護職が医療的ケアに関わる場面で耳にする研修です。しかし、目的や学ぶ内容、修了後にできることには違いがあります。
実務者研修は、介護福祉士を目指すうえで必要な知識や技術を学ぶ研修です。一方で、喀痰吸引等研修は、介護現場で喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを実施するために必要な研修です。
まずは、それぞれの特徴を確認していきましょう。
実務者研修とは
実務者研修は、介護職として必要な専門知識や技術を学ぶ研修です。介護福祉士の受験資格を得るために必要な研修としても位置づけられています。
実務者研修では、介護過程や認知症、障害理解、コミュニケーション技術など、介護現場で求められる幅広い内容を学びます。
学習内容の一例は以下のとおりです。
- 介護過程
- 認知症や障害への理解
- コミュニケーション技術
- 生活支援技術
- 医療的ケア
実務者研修の特徴のひとつが、医療的ケアを学べる点です。医療的ケアでは、喀痰吸引や経管栄養について、座学や演習を通して知識や基本技術を学習します。
ただし、実務者研修で学ぶ医療的ケアは、喀痰吸引等研修の基本研修にあたる内容です。そのため、 実務者研修を修了しただけでは喀痰吸引を実施できません。
介護福祉士の受験資格取得や、介護職として知識・技術を深めたい人にとって、実務者研修は重要な研修といえるでしょう。
実務者研修の詳しい内容や受講方法については、こちらの記事をご覧ください。
喀痰吸引等研修とは
喀痰吸引等研修は、介護職員が喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを安全に行うために受講する研修です。
主な対象は、介護施設や訪問介護などで医療的ケアに携わる介護職員です。利用者の状態や勤務先で求められる業務に応じて、第1号研修・第2号研修・第3号研修があります。
喀痰吸引等研修では、以下のような内容を学びます。
- 喀痰吸引の知識と手順
- 経管栄養の知識と手順
- 感染予防
- 安全管理
- 実地研修による実践的な技術
研修を修了し、必要な認定や登録を受けることで、介護職員として喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアを行えるようになります。
なお、喀痰吸引等研修は、実務者研修とは目的が異なります。介護福祉士の受験資格取得を目的とする研修ではなく、医療的ケアの実施を目的とした専門研修です。
喀痰吸引等研修の詳しい内容や講座については、こちらをご覧ください。
参考:三幸福祉カレッジ 喀痰吸引等研修(介護職員のための看護師によるたん吸引講座)
実務者研修と喀痰吸引等研修の違いを比較表で整理
実務者研修と喀痰吸引等研修は、どちらも介護職のスキル向上につながる研修です。ただし、目的や修了後にできることは異なります。
違いを比較すると、以下のとおりです。

参考:厚生労働省「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について」
実務者研修では医療的ケアを学びますが、喀痰吸引を実施するためには喀痰吸引等研修や認定が必要です。そのため、両者は「どちらか一方を選ぶ研修」ではなく、目的に応じて組み合わせて受講する研修といえるでしょう。
実務者研修で免除される内容はある?
喀痰吸引等研修を修了するには、通常、基本研修と実地研修を受ける必要があります。
基本研修では、喀痰吸引や経管栄養に関する知識・演習を学びます。実地研修では、実際の利用者に対する医療的ケアを通して技術を身につけます。
実務者研修を修了している場合は、喀痰吸引等研修の基本研修の一部が免除されます。これは、実務者研修のカリキュラムに医療的ケアが含まれており、喀痰吸引や経管栄養に関する知識や演習をすでに学んでいるためです。
そのため、実務者研修修了者は、喀痰吸引等研修を受講する際に実地研修から進められるケースがあります。研修時間や費用を抑えやすい点はメリットといえるでしょう。
一方で、免除されるのは基本研修です。実際に喀痰吸引を行うために必要な実地研修や認定手続きは省略できません。
参考:厚生労働省「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について」
実務者研修の修了者が喀痰吸引等研修を受ける際にかかる費用

通常、喀痰吸引等研修では基本研修と実地研修を受講します。三幸福祉カレッジの費用を参考にすると、目安は以下のとおりです。
基本研修+実地研修の場合
第1号研修:約20万円~24万円
第2号研修:約16万円~19万円
第3号研修:約3万円~5万円
※三幸福祉カレッジの費用を参考にしております。
参考:三幸福祉カレッジ 喀痰吸引等研修(介護職員のための看護師によるたん吸引講座)
実務者研修を修了している場合は、喀痰吸引等研修の基本研修が免除されるため、実地研修のみを受講します。
実地研修のみの場合、第1号研修・第2号研修ともに約2万円~5万円が目安です。費用は研修機関や受講内容によって異なるため、事前に確認すると安心です。
費用だけでなく、受講できる研修区分や実地研修の実施体制もあわせて確認しましょう。
実務者研修の修了者が喀痰吸引を行えるようになるまでの流れ

実務者研修を修了した後に喀痰吸引を行うには、研修受講や認定に関する手続きを順番に進める必要があります。
実務者研修修了者は基本研修が免除されますが、実地研修や認定手続きは必要です。勤務先の体制や登録状況も関係するため、事前に流れを確認しておきましょう。
ここでは、実務者研修修了者が喀痰吸引を行えるようになるまでの流れを解説します。
(1)喀痰吸引等研修の実地研修を受ける
実務者研修修了者は、喀痰吸引等研修の基本研修が免除されるため、実地研修から受講します。
実地研修では、登録研修機関や所属事業所などで、喀痰吸引や経管栄養に関する実践的な技術を学びます。利用者の安全を守るため、決められた回数や評価基準を満たしながら研修を進めます。
実地研修の実施場所や内容は、研修区分や勤務先によって異なる場合があります。受講前に研修機関や勤務先へ確認しておくと安心です。
(2)「認定特定行為業務従事者認定証」の交付申請を行う
実地研修を修了したら、「認定特定行為業務従事者認定証」の交付申請を行います。
研修修了者は修了証を都道府県庁に提出し、認定証の発行を申請します。申請の際は、勤務先が登録特定行為事業者であることが条件です。登録事業者でない場合、所属施設に登録を依頼する必要があります。
認定証の交付により、介護職として喀痰吸引等の医療的ケアを行うことが可能になります。申請手続きや必要書類は研修機関や都道府県によって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
(3)登録特定行為事業者の登録を受けた事業所で働く
認定証を取得した後は、登録特定行為事業者として登録を受けた事業所で従事する必要があります。
登録特定行為事業者とは、喀痰吸引等の医療的ケアを適切に実施できる体制を整え、都道府県へ登録している事業所のことです。医師や看護師との連携体制、安全管理体制などが求められます。
介護職員が喀痰吸引を行う際は、医師の指示のもとで実施します。そのため、認定証を取得していても、登録事業者でない勤務先では喀痰吸引を行うことはできません。
勤務先が登録事業者かどうか、医療的ケアに対応しているかを事前に確認しておきましょう。
参考:厚生労働省「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度について」
まとめ

実務者研修を修了しただけでは、喀痰吸引を行うことはできません。実務者研修では医療的ケアを学びますが、実際に喀痰吸引を行うには、実地研修や認定手続き、登録事業者での従事などが必要です。
制度や必要な手続きを理解しておくことで、自分に必要な研修を選びやすくなります。喀痰吸引等研修の受講を検討している人は、三幸福祉カレッジの講座内容や受講方法を確認してみましょう。
この記事の監修者
三幸福祉カレッジ 編集部
実務者研修・初任者研修を全国で開講している三幸福祉カレッジです。介護の仕事や資格について皆さんが疑問に思っていることや気になること、話題の情報を更新しています。