外国人介護人材の受け入れ制度について~受け入れ前に知っておくべき制度の基本~-三幸福祉カレッジ

お知らせ

2024.09.14お役立ち情報
外国人介護人材の受け入れ制度について~受け入れ前に知っておくべき制度の基本~

外国人介護人材の受け入れ制度について~受け入れ前に知っておくべき制度の基本~

介護業界でも注目されている外国人人材の受け入れ。
日本では、政府が介護人材の確保策として外国人人材の受け入れを推進しており、2017年には在留資格「介護」が始まり、2019年には特定技能が創設されました。高まる介護需要に対する人材不足、そして政府の後押しもあり、外国人介護人材は増加し続けています。

この記事では、これから外国人介護人材の受け入れを検討している方が知っておくべき制度の基本について解説します。

外国人介護人材を受け入れることができる4つの制度

外国人が日本で働くためには、在留資格が必要です。
外国人介護人材受入れの仕組みについては、EPA(経済連携協定)在留資格「介護」技能実習特定技能の4つの制度があります。


出典:外国人介護人材受入れの仕組み|厚生労働省

参考
外国人介護人材の受入れについて|厚生労働省

EPA(経済連携協定)

EPAとは、特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するための条約のことです。日本では、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国との各協定に基づき、外国人介護福祉士候補者の受け入れを実施しています。

各国により要件は異なりますが、介護や看護に関する一定の知識を持った人材が日本語研修を受けた上で、外国人候補者として日本に入国します。入国後、さらに日本語研修を受けた後に、受け入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事します。入国4年目に介護福祉士の国家試験を受験し、合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことができますが、不合格の場合は帰国しなくてはいけません。

外国人候補者が介護福祉士の国家試験に合格し、その後継続して日本に滞在することが期待されているため、受け入れ施設は国家資格の取得を目標とした国家試験対策、日本語学習等の適切な研修を実施しなければなりません。

EPAに基づく外国人介護福祉士候補者を受け入れたい場合には、唯一の受入れ調整機関として位置づけられている国際厚生事業団(JICWELS)によるマッチングが必要です。

参考
EPAとは|経済産業省
EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者の受け入れについて|厚生労働省

在留資格「介護」

専門的・技術的分野への外国人労働者の受入れを目的とした制度です。

日本の介護福祉士養成校に通う外国人留学生は、卒業して介護福祉士を取得すると、「介護」という在留資格(いわゆる介護ビザ)を取得できます。家族の帯同も可能で、在留期間も制限なしで更新可能です。
令和2年4月1日からは、実務経験を経て介護福祉士を取得した方も、在留資格「介護」への移行対象となっています。

参考
在留資格「介護」について|厚生労働省

技能実習

技能実習は、国際貢献のため、発展途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度です。

技能実習生は入国後、日本語と介護の基礎等に関する講習を受けてから、介護事業所で受け入れます。入国1年後の試験に合格すると追加で2年、3年後の試験に合格するとさらに2年、実習を受けることができます。その後は帰国し、母国で介護業務に従事します。
技能実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、日本で永続的に働くこともできます。

参考
外国人技能実習制度について|厚生労働省
介護職種の技能実習制度について|厚生労働省

特定技能1号

特定技能は、深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる制度です。

対象となる外国人は、技能水準・日本語能力水準を試験等で確認された上で入国します。介護事業所で最大5年間受け入れすることができます。5年後は帰国となりますが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に働くことができます。

参考
特定技能制度|出入国在留管理庁
介護分野における特定技能外国人の受入れについて|厚生労働省

外国人介護人材に対しての支援について

外国人介護人材を受け入れる場合には、それぞれの制度の趣旨や要件に沿った日本語教育や技能教育等の支援が必要です。

介護は対人サービスであり、日本語によるコミュニケーションが必要不可欠です。また、介護福祉士国家試験に合格するためにも、日本語能力が求められます。
外国人介護人材は、在留資格を得る過程で、一定の日本語能力を習得していますが、日本語には発音が同じでも意味が異なる言葉や、擬音語や擬態語等、外国人には理解しづらい言葉もあります。さらに、専門用語も理解しなければなりません。
Off-JTとしての日本語教育だけでなく、日々の業務やコミュニケーションの中での、「聞く」「読む」「書く」「話す」ことも日本語教育につながります。このことを外国人介護人材と受け入れ側の施設職員の双方が意識することが、日本語能力を向上させるポイントになります。

また、厚生労働省は、介護分野で働く外国人の方のために、学習用コンテンツ・テキストを作成しています。日本語を学ぶためのテキスト、介護の専門用語を理解するためのテキスト、介護福祉士の合格を目指すための問題集など、様々な教材が多言語対応で用意されています。ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

参考
外国人介護人材の受入れについて|厚生労働省

▼こちらの記事もぜひご覧ください
外国人介護人材を指導する際に知っておきたい3つのこと

まとめ

  • 人材不足、そして政府の後押しもあり、外国人介護人材は増加している
  • 外国人が日本で働くためには、在留資格が必要
  • 外国人介護人材を受け入れる制度はEPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能の4つ
  • 外国人介護人材を受け入れた場合は、適切な日本語教育と技能教育等が必要
  • Off-JTとしての日本語教育だけでなく、日常業務の中での日本語教育も意識する

この記事の監修者

三幸福祉カレッジ 編集部

実務者研修・初任者研修を全国で開講している三幸福祉カレッジです。介護の仕事や資格について皆さんが疑問に思っていることや気になること、話題の情報を更新しています。

△介護の資格取得なら介護職員初任者研修の三幸福祉カレッジトップへ