外国人介護人材を指導する際に知っておきたい3つのこと-三幸福祉カレッジ

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2022.02.21お役立ち情報
外国人介護人材を指導する際に知っておきたい3つのこと

少子高齢化が進む日本にとって、外国人介護人材は不可欠な存在となりつつありますが、外国人介護人材を受け入れる施設はさまざまな悩みを抱えているのも現状です。
この記事では、外国人介護人材を登用する際の問題点と、外国人介護人材を指導する際のポイントを解説します。

介護業界の今後と外国人介護人材登用の可能性

日本の介護業界は、深刻な人材不足に直面しています。
「2025年問題」としても以前から注視されているように、団塊の世代と呼ばれる第一次ベビーブームに生まれた方たちが後期高齢者(75歳以上)となることで、介護需要が高まる一方、介護人材の不足が、ますます深刻化することが問題視されています。
そこで注目されているのが、外国人介護人材の採用です。
日本では、政府が介護人材の確保策として外国人労働者の受け入れを推進しており、2017年には在留資格「介護」(いわゆる介護ビザ)が始まり、2019年には特定技能が創設されました。
高まる介護需要に対する人材不足、そして政府の後押しもあり、外国人介護人材は増加し続けています。

関連記事:2025年問題とは?これからの介護職に求められるもの

外国人介護人材を登用する上での問題点

その1.日本語の問題

介護は対人サービスであり、日本語によるコミュニケーションが必要不可欠です。
外国人介護人材は、各在留資格を得る過程で、一定の日本語能力を習得していますが、日本語は、他言語と比べ難易度の高い言語と言われ、外国人には理解しづらい言葉もあります。たとえば、発音が同じなのに意味が異なる言葉や、擬音語や擬態語などです。
そのため、円滑なコミュニケーションがとれるように、日々の業務の中でも、日本語能力を高めてもらうためのサポートが必要です。
EPAや技能実習性、特定技能の制度で就労している方が介護福祉士国家試験に合格するためにも、日本語能力が求められます。

その2.現場でのコミュニケーション

施設利用者とのコミュニケーション

外国人に介護されることへの抵抗感もひとつの問題です。文化や言語の違いから、外国人に介護されることに不安を抱える方もいるでしょう。
しかし、厚生労働省が実施した「外国人介護人材の受入れに関するアンケート調査」の結果によると、外国人介護人材の介護サービスの質に満足と回答した方が65.1%、普通と回答した方が24.8%となっており、満足できないと回答した方はわずか2.1%でした。


引用:厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」

このことからも、多くの利用者や家族が、外国人介護人材を高く評価していることがわかります。仕事に取り組む姿勢や丁寧な対応などを評価する意見が多いようです。
参考:厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」

現場職員とのコミュニケーション

「コミュニケーションが取りづらいのではないか」という不安から外国人介護人材の受け入れを躊躇する事業所も少なくありません。
確かに、業務指示に対して「わかりました」と言われたのに、全く伝わっていないということや、微妙なニュアンスの違いが伝わらないこともあるかと思います。
これらのコミュニケーションエラーは、日本語の難しさに加え、文化や歴史的・政治的な背景などによる価値観の違いにより生じるものです。
外国人労働者に対するパワハラやいじめ、劣悪な労働環境なども問題となっています。
外国人介護人材を受け入れる際には、あらかじめ受け入れ体制を整えることが重要です。
たとえば、外国人介護人材とのコミュニケーションで気を付けなければならないことを現場職員に十分に説明し、理解を得ておくこと。
また、事業所としてどのような体制を整えるのか(外国人介護人材に対する生活面のサポートや日本語教育、労働条件のことなど)を事前に決め、現場職員へ説明しておくとよいでしょう。

その3.在留資格

外国人介護人材の在留資格として、「EPA(経済連携協定)」「在留資格 「介護」」「技能実習「介護」」「特定技能1号「介護」」の4つの制度があります。それぞれの制度の目的としくみを理解した上で、在留資格の管理を行う必要があります。

・EPA(経済連携協定)

介護福祉士の国家資格取得を目的とし、日本と相手国(インドネシア、フィリピン、ベトナム)の経済活動の連携強化を図るものです。入国してから4年目に介護福祉士の国家試験を受験します。合格すれば在留期間を更新しながら永続的に働くことができますが、不合格の場合は帰国しなくてはいけません。

・在留資格「介護」

専門的・技術的分野への外国人労働者の受入れを目的とした制度です。日本の介護福祉士養成校に通う外国人留学生は、卒業して介護福祉士を取得すると、「介護」という在留資格(いわゆる介護ビザ)を取得できます。在留期間は、制限なしで更新可能です。

・技能実習「介護」

日本から相手国への技能移転(国際貢献)を目的とした制度です。技能実習生は入国後、日本語と介護の基礎等に関する講習を受けてから、介護事業所で雇用します。入国1年後の試験に合格すると追加で2年、3年後の試験に合格するとさらに2年、実習を受けることができます。その後は帰国し、母国で介護業務に従事します。技能実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、日本で永続的に働くこともできます。

・特定技能1号「介護」

人手不足対応のための一定の専門性・技能を有する外国人の受入れを目的とした制度です。対象となる外国人は、技能水準・日本語能力水準を試験等で確認された上で入国します。介護事業所で最大5年間雇用することができます。5年後は帰国となりますが、介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」に変更して、永続的に働くことができます。
参考:厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック」

外国人介護人材を指導する3つのポイント

ポイント1.現場でも日本語の勉強をしている意識を持たせる

就業後の外国人介護人材に対して、日本語教育をどのように行えばよいか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
Off-JTとして日本語教育を受けてもらう方法もありますが、意識していただきたいのは、OJTの中での日常のコミュニケーションや業務が日本語教育につながるということです。介護業務の中で、「聞く」「読む」「書く」「話す」ことが日本語教育になるということです。
現場職員と外国人介護人材の双方が、仕事を通して日本語の勉強をしている意識を持つことにより、日本語能力が早期に向上すると言われています。

ポイント2.価値観を理解する

それぞれの国の文化や歴史的な背景等によって、価値観が異なります。また、宗教による価値観の違いもあります。
日本人にとっての当たり前も、外国人にとっては当たり前ではないも多くあります。
まずは、相手の国の文化やその人の背景を理解すること。そして、日本の文化や習慣を伝え、お互いの価値観を理解しあうことが大切です。

ポイント3.指示は明確に出す

仕事上のコミュニケーションで「自分は伝えたつもりだが、相手に伝わっていなかった」という経験はありませんか?これは、外国人に限ったことではなく、日本人同士でも起こりがちなコミュニケーションエラーです。
指示を出す際には、具体的で明確な表現をする必要があります。曖昧で抽象的な表現では、相手によって受け取り方が異なり、伝えたいことが伝わりません。
外国人にとっては、馴染みのない日本の文化や日本語難しさもありますので、特に気を付ける必要があります。
たとえば、日本特有の遠回しな表現は伝わりづらいため、「Yes」「No」をはっきり伝えるように心がけるとよいでしょう。また、発音が同じでも意味が異なる言葉や、擬音語・擬態語も、なるべく避けるとよいでしょう。

まとめ

外国人介護人材を登用する際の問題点と指導する際のポイントについて解説しました。

  • 日本語の特徴や難しさを理解する。
  • 在留資格の管理に注意する。
  • 介護業務を通して日本語の勉強をしている意識をもつ。
  • それぞれの国の文化や歴史的背景、宗教等による価値観の違いをお互いに理解する。
  • 指示を出す際には、具体的で明確な表現をする。

外国人介護人材を登用することにより、人材不足の解消だけでなく、職場の一体感の醸成や介護サービスの質の向上の効果も期待したいですね。

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