ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割・仕事内容から将来性まで-三幸福祉カレッジ

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2024.07.02お役立ち情報
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割・仕事内容から将来性まで

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割・仕事内容から将来性まで


ケアマネジャーとは、ケアプランを作成し、介護保険サービスの利用をサポートするプロフェッショナルです。
しかし、実際にケアマネジャーが担う役割や仕事内容をご存じでない人も多いです。
そこで今回は、ケアマネジャーについてより深く理解するために、平均給与をはじめメリットとデメリット、やりがいや大変なところなどを交えて解説します。

1.ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?


ケアマネジャーは、 介護保険上における正式名称は「介護支援専門員」で、介護保険制度を活用して自立した生活をサポートする専門職です。

一般的には「ケアマネ」としてなじみ深く、カタカナ表記では「ケアマネジャー」が正式です。
ケアマネジャーは、介護保険法に基づき、介護を必要とする人々が適切なサービスを受けられるよう支援します。
具体的には、 ケアプラン(介護サービス計画書)を作成し、サービス事業者との調整を行います。

介護職としての経験を生かせるため、キャリアアップを目指す人に人気のある職業です。
ケアマネジャーが活躍できるフィールドは、主に居宅介護支援事業所をはじめ介護施設や地域包括支援センターなど3つあります。

2.ケアマネジャーの主な仕事内容


介護サービスを利用したい人は市町村で要介護認定の申請をしますが、この際にケアマネジャーが申請者の自宅を訪問して調査・報告を行います。
要介護認定を受けた後、ケアマネジャーはご利用者の身体状態や課題を把握し、ご家族と相談しながら介護保険適用サービスを利用するための計画書であるケアプランを作成します。
ケアマネジャーは、介護サービス利用者と提供事業所とをつなぐ重要な役割を担い、誠意ある対応が求められます。

①ケアマネジメント業務

ケアマネジャーの主な業務の一つが、介護サービスが適切に提供されるようサポートするマネジメント業務であり、以下の7つのステップで行います。
1. インテーク
初回面談でご利用者とその家族の状況をヒヤリングし信頼関係を築きます。
2.  アセスメント
ご利用者の課題を明確にし、必要なサービスを見極めます。
3. ケアプラン原案作成
課題解決のための詳細な計画書を作成し、説明・確認を行います。
4. サービス担当者会議
医師や介護職員などと会議を開き、ケアプランの内容を決定します。
5. ケアプラン修正
新たな課題が発生した場合は修正を行います。
6. ケアプラン交付
最適なケアプランをご利用者に提供し、介護サービスを開始します。
7. モニタリング
サービスの適切性や目標達成度を評価し、必要に応じてケアプランを修正します。
上記7つのステップを通じて、ご利用者の自立した生活を支援します。

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②介護保険の給付管理

介護保険の給付管理は、介護サービス提供事業者が報酬を受け取るための重要な業務です。
ケアマネジャーは、国民健康保険団体連合会(国保連)に提出する給付管理票を作成し、毎月1回提出して介護給付費を請求します。
不備があると返戻となり事業所への支払いが遅れるため、正確に作成する必要があります。
給付管理は事業所の事務員が行う場合もありますが、基本的にはケアマネジャーの役割です。
支給限度額や利用者負担額の計算も含め、サービス利用票や給付管理票を正確に作成し、国保連に提出します。

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③介護事業者とご利用者との間の調整

ケアマネジャーは、介護事業所とご利用者との間をつなぐ調整役も担います。
ご利用者自身が訪問介護や通所介護など多くの事業所の中から最適なサービスを探すのは難しいため、ケアマネジャーがご利用者へ情報を提供し、希望通りの事業所を見つける手助けをします。
また、ご利用者が事業所に直接要望やクレームを伝えにくい場合、ケアマネジャーが代わりに伝えたり事業所の意見をご利用者へ伝えたりする役割も果たします。

④要介護認定に関する業務

介護保険制度を利用するには、要介護認定の申請が必要です。
ご利用者やその家族は手続きに不慣れなため、ケアマネジャーが代行して申請を行うことがあります。
また、自治体からの依頼で要介護認定調査を実施することも多いです。調査では、ご利用者の自宅を訪問し、身体状況や環境をヒアリングします。その結果を基に、要介護認定の対象かどうかを報告します。
最終的な介護度の認定は、市区町村の介護認定調査会が行います。

3.働く場所によって異なるケアマネジャーの仕事


ケアマネジャーの役割は多岐にわたり、働く場所によって役割や仕事内容がやや異なります。
介護保険サービスの提供に加え、生活困窮者の生活保護申請の補助や食事に困る人への配食紹介、施設利用者とその家族の仲を取り持つ、高齢者に地域活動への参加を促すなどもあります。
以下では働く場所別に、具体的な役割と仕事内容をご紹介します。

①居宅介護支援事業所で働くケアマネジャー

居宅介護支援事業所で働く居宅ケアマネジャーは「居宅ケアマネ」とも呼ばれ、自宅で介護を受けるご利用者を対象にサポートを行います。
サービスご利用者の自宅を訪問し、状況を把握して個々に合ったケアプランを作成します。
また、ご利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整も行います。
これにより、ご利用者が必要な介護サービスを適切に受けることができます。

②入居施設で働くケアマネジャー

入居施設で働く施設ケアマネジャーは、入居者のケアプランを作成します。
居宅ケアマネジャーと比較すると担当する利用者数は多く、ヘルパーと共に介護業務を行ったり雑務をこなしたりすることもあります。
施設によっては夜勤が必要な場合もあります。

③地域包括支援センターで働くケアマネジャー

地域包括支援センターで働くケアマネジャーは、要支援認定を受けた人が介護が必要な状態にならないようサポートするほか、要介護状態になった場合には悪化を防ぐことも目的としています。
このケアマネジメントは、市区町村や委託を受けた社会福祉法人などが運営しています。

4.ケアマネジャーの1日の流れ


勤務先によって変わりますが、入居施設におけるケアマネジャーの1日の流れの一例をご紹介します。
8:30~9:00 出勤
制服に着替え、スケジュールチェックやスタッフ間ミーティングを行います。
9:00~12:00
ケアプランや要介護認定の申請書類などを作成します。また、各関係機関への連絡・調整も行います。
12:00~13:00 休憩
13:00〜17:00
ご利用者のモニタリングやサービス担当者会議へ出席する。また、ケアプランの更新や記録の記入なども行います。
17:30 退勤

4.ケアマネジャーの役割に含まれない仕事


ケアマネジャーは業務範囲に明確な定めがなく、下記のようなちょっとした頼みごとをお願いされることもあります。
• 通院の介助・付き添い
ケアマネジャーは、医療機関との連携や調整を行うついでに、ご利用者から通院の介助や付き添いを依頼されることもありますが、本来はケアマネジャーが携わる業務ではありません。
通院の介助や付き添いとなるとご利用者を車に乗せての移動が発生するため、自動車運転二種免許が必要です。
営業ナンバー以外の車に人を乗せて対価を得ると白タク行為になり処罰されますので注意しましょう。
• 家事の代行
ケアマネジャーは、相談業務を行うついでに、ご利用者から買い物の代行や掃除の手伝いを依頼されることもあります。
あくまでケアマネジャーは、ご利用者に必要な介護サービスを提供したり相談に応じたりすることが業務です。
• 金銭管理
ケアマネジャーは、要介護認定の申請や適切な介護サービスを提供するために、ご利用者の経済状況を把握していますので、そのついでにご利用者から金銭管理を依頼されることもあります。
あくまでケアマネジャーは、業務上ご利用者の経済状況を把握する必要があるから知っているだけですので、ご利用者の金銭管理は行いません。
• 行政や医療機関の手続き代行
ケアマネジャーは、要介護認定の申請や介護サービスの申請を代行するついでに、ご利用者から介護保険に関係のない行政手続きの代行を依頼されることもあります。
しかし、介護保険に関係のない行政手続きをケアマネジャーが代行することで、思わぬトラブルに発展する可能性もあるので注意しましょう。

困っているご利用者を見ると断れずについ引き受けてしまうケアマネジャーも少なからず存在します。
実際には、これらの業務はケアマネジャーの役割に含まれません。
際限なく対応すると自身が疲弊したりケアマネ変更時に「前のケアマネはしてくれていた」などのトラブルが発生したりするおそれがあるため、しっかりとお断りすることが大切です。

5.ケアマネジャーの平均給与


ケアプランを作成し、介護保険サービスの利用をサポートする重要な役割を担うケアマネジャーの給与は一体どのくらいなのでしょうか?
令和4年度の厚生労働省介護従事者処遇状況等調査によると、ケアマネジャーの平均月給は約376,770円です。
無資格者は約268,680円、国家資格の介護福祉士保有者は約331,080円ですので、比較すると無資格者で月給約100,000円、介護福祉士で月給約40,000円も差があることがわかります。

出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」

6.ケアマネジャーのメリット・やりがい


ケアマネジャーは、給与アップや独立、講師活動にも役立つほか、多くのやりがいを感じる仕事です。
・ 自分の計画したケアプランにより、ご利用者が自立した生活を送れるという喜びを感じる。
・ ご利用者やその家族から直接感謝される。
・ 介護保険制度や介護サービス、医療関係などの幅広い専門知識が身につく。
・ 基本的には事務作業や利用者宅への訪問などは昼間が多く夜勤がほぼないので、体への負担を軽減できる。
・ 自分でスケジュールを組むため、柔軟な時間調整が可能で、子育てや育児との両立が図りやすい。
・ ケアマネジャーの資格を取得することで活躍の場が広がり、転職にも有利に働く。
ケアマネジャーは、自分が作成したケアプランでご利用者やその家族の生活を改善できることがあります。改善できたことにより、ご利用者やその家族から感謝の言葉をいただけ、仕事をする上で大きな励みとなりやりがいを感じます。
また、幅広い専門知識が身につくだけでなく、人生経験豊富な高齢者との交流で心が通い合い、人間的にも成長できることが魅力です。
さらに、夜勤はほぼなく柔軟な時間調整も可能ですので、仕事とプライベートとの両立がスムーズです。

7.ケアマネジャーのデメリット・大変なところ


ケアマネジャーは、多くのメリットがある一方でデメリットや大変なところもあります。
• コミュニケーションが苦手な人にとって人間関係につらさを感じる。
• 資格は5年ごとの更新が必要
• 本来の業務以外で呼び出されることが多い
• 精神的負担が大きい
ケアマネジャーは人間関係や精神的負担が大きいなど大変なところも多いですが、それを上回るやりがいがあるのも事実ですので、働く場所を変えるなどデメリットな要素を軽減する方法も理解しておきましょう。

8.ケアマネジャーになるには?


ケアマネジャーになるには、毎年実施される介護支援専門員研修受験試験に合格することが必要です。この試験は国家資格ではなく公的資格であり、試験は各都道府県が管轄、実施しています。
また、合格後も必要な研修の受講と申請を経て、ケアマネジャーの業務に従事できます。

①ケアマネジャー資格取得までの流れ

1. 実務経験を積み受験資格を満たす
2. 「介護支援専門員実務研修受験試験」を受験し合格する
毎年1回、例年10月の第2日曜日に開催されています。
3.「介護支援専門員実務研修」を修了する
15日間の講習+3日間の実務(87時間以上の研修)の受講を全日程出席して修了です。
4. 「介護支援専門員証」の交付を受ける
介護支援専門員実務研修を修了後、3ヵ月以内に各都道府県の「介護支援専門員資格登録簿」へ登録申請を行い、受理されると交付されます。
5. ケアマネジャー(介護支援専門員)として活躍

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②介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)の概要

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は、ほとんどの都道府県が5肢複択方式のマークシート試験で実施しています。試験内容には実技試験や論文試験が含まれません。

試験日
試験日 10月の第2日曜日

受験要項・配布時期
5月〜7月頃

※都道府県により異なります。
各都道府県の情報はこちらから

合格発表日 12月上旬頃

試験結果 2023年度試験結果
合格率:21.0%
合格者数:11,844人
受験者数:56,494人
参考:厚生労働省「第26回介護支援専門員実務研修受験の実施状況について

③ケアマネジャーの将来性|これからのケアマネジャーに求められる要素


では、ケアマネジャーの将来性はどうなのでしょうか?
・ 少子高齢化と介護人材の不足によってケアマネジャーの人材ニーズは著しく拡大している
・ 若年層のケアマネジャーが少なく高齢化が懸念されている
・ AIに仕事を奪われることはない

ケアマネジャーの需要は増加しており将来性がある仕事です。
しかし公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度介護労働実態調査」によると、ケアマネジャーの平均年齢は53歳で、特に45歳〜60歳未満の年齢層が多く、20代後半から30代の若いケアマネジャーが不足しています。
また、AIの進化によって仕事を奪われるのではないかという懸念もありますが、ケアマネジャーは高齢者に寄り添い、コミュニケーションを取りながらマネジメントを行うため、AIに代替されることは考えにくいです。
人材不足が続けば給与や勤務条件の改善が期待できるため、依然として将来性のある職業です。

さらに、これからのケアマネジャーに必要な要素などんなことでしょうか?
・ 医療・福祉機関や介護事業所との連携強化
・ 主任ケアマネジャー

介護給付サービスの拡大に伴い、ケアマネジャーの対応範囲も広がっています。
介護保険制度開始時と比べ、介護予防ケアマネジメントや在宅での看取り対応、継続的な治療・リハビリなどの調整ニーズが増加しています。
多職種との連携を強化し専門的な支援を提供するためには、介護だけでなく医療・福祉などの幅広い知識も必要です。
ご利用者に最適な支援を提供するため、多職種と情報を共有し続けることが求められます。
また、2021年3月に介護保険法が改定された居宅介護支援事業所の管理者は「原則、主任ケアマネジャーであること」が要件となった(2027年3月まで猶予期間)ことにより、質の高いケアマネジャーや主任ケアマネジャーの需要がより高まっています。

8.まとめ

今回は、ケアマネジャーについてより深く理解するために、平均給与をはじめメリットとデメリット、やりがいや大変なところなどを交えて解説しました。
ケアマネジャーは、介護保険上における正式名称は「介護支援専門員」で、介護保険制度を活用して自立した生活をサポートする専門職です。

少」子高齢化と介護人材の不足によってケアマネジャーの人材ニーズは著しく拡大していますが、若年層のケアマネジャーが少なく高齢化も懸念されています。

AIに仕事を奪われることはありませんので、ケアマネジャーの将来性は高いと言えるでしょう。

この記事の監修者

三幸福祉カレッジ 編集部

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