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2023.12.19
介護コラム
介護福祉士の仕事内容は?将来性や働くメリット・デメリットを解説介護福祉士の仕事内容は?将来性や具体的な仕事内容を解説 超高齢社会を迎え、より注目が高まっている介護福祉士。 介護福祉士の仕事には、身体介護をはじめ生活援助やチームマネジメントなどがあります。 しかし、一般的な介護職とどのような違いがあるのかと疑問に思われる人も多いです。 そこで今回は、今後さらに必要性が高まる介護福祉士について、具体的な仕事内容や将来性などを解説します。 1.介護福祉士とは? 介護福祉士は、高齢者や障害者の生活支援、福祉サービスを提供する専門職です。 身体的および精神的なケア、日常生活の援助、社会参加の支援などを行い、ご利用者の尊厳と自立を重視します。 福祉施設や医療機関、ご利用者の自宅などで業務し、チームと連携して総合的なケアを担当します。 専門的な知識やコミュニケーション能力が求められ、人間関係の構築や安心感の提供が大切です。 ①介護福祉士は介護の唯一の国家資格 介護福祉士は、数ある介護の資格の中でも唯一の国家資格です。 毎年1月下旬頃に実施される筆記試験と、同じく毎年3月上旬頃に実施される実技試験に合格して登録を行うことで、国に認められた介護福祉士として活躍できます。 そして、一度資格を取得すれば全国どこでも通用し、更新もないため一生ものの資格です。 出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法」 上記は、介護福祉士になるための資格取得ルートを表にしたものです。 養成施設ルートは、指定された養成施設などを卒業後、介護福祉士国家試験を受験します。 最も多い実務経験ルートは、3年以上の実務経験および介護福祉士実務者研修を修了後、介護福祉士国家試験を受験します。 福祉系高校ルートは、福祉系高校に入学し、定められた科目や単位を取得し卒業後、介護福祉士国家試験を受験します。 関連ページ:三幸福祉カレッジ「介護福祉士になるには-試験・資格取得までの流れと受験資格について-」 ②介護福祉士が活躍できる場所 介護福祉士は、他の介護職の活躍の場と違いはありませんが、チームマネジメント等求められる役割が変わってきます。 • 特別養護老人ホーム • 介護老人保健施設 • 介護付き有料老人ホーム • 通所介護(デイサービス) • グループホーム • 訪問介護事業所 • 障がい者施設 • 病院 2.介護福祉士の仕事内容を6つご紹介 こちらでは、介護福祉士として行う主な業務を6つ解説します。 ①身体介護 身体介護は、ご利用者の身体に直接接触して行う介助サービスです。 日常生活動作(ADL)や手段的日常生活動作(IADL)、生活の質(QOL)の向上 を目的とした自立支援や重度化の防止などが含まれます。 ご利用者の日常生活や社会生活において、専門的知識や技術をもって行われるサービスであり、食事や入浴、排泄、移動、移乗などの介助が該当します。 ②生活援助 生活援助は、身体介護以外で、ご利用者が単身であったり、家族が障がいや疾病で家事を行うことが困難な場合に行われ、日常の家事を代行する介助サービスです。 ご利用者個々の状況に応じた援助を提供し、本人に関連する家事に限定されます。 調理をはじめ洗濯や掃除、ベッドメイクや買い物、薬の受け取りなどが該当します。 ③食事介護 食事介助は、高齢や健康上の理由で一人では食事が困難な人を支援する介助サービスです。 ご利用者の状態に応じて、通常食や刻み食、ミキサー食などを提供し、摂取内容や量を記録します。 食事介助は、テーブルやリクライニング車椅子、ベッド上などで行われ、ご利用者の残存能力を最大限に活用しつつ、嚥下の安全性や適切な姿勢の確認も重要な仕事です。 ④社会活動支援 社会活動支援は、お互いの対話を促進し、近隣の住人とのつながりを強化し、地域の催しやさまざまな活動の情報を提供することで、ご利用者の社会参加を支援するサービスです。 就労支援や地域活動の情報提供、社会参加支援などを通じて、ご利用者が穏やかで安定した生活を送れるようサポートします。 また、孤立を防ぎ社会とのつながりを保つ、家族や近隣住民と良好な関係を築けるよう支援します。 ⑤相談・助言 相談・助言は、社会的に不安や悩みを持つ人に対して、介護に関するアドバイスや指導を提供します。 具体的な相談内容は、介護保険や要介護認定に関するもの、介護サービスや福祉用具の案内、将来の介護計画などが含まれます。 ご利用者や家族からの相談に応じ、日常生活の向上をサポートし、必要なサービスや施設への案内を行います。 また、単発の相談だけではなく継続的な対話を通じて、不安解消やトラブル回避にも努めます。 ⑥チームマネジメント 介護福祉士は、リーダーシップの役割を果たし、チームやユニットのマネジメントも重要な仕事です。 介護の実践者としてだけではなく、介護技術の指導や他職種との連携も求められます。 介護福祉士としての経験が豊富な場合は、施設内でのマネジメントやチームケアを担当し、スタッフの指導や業務管理を実施します。 3.介護福祉士の将来性は? 介護福祉士を目指すにあたり、将来性はとても気になるところです。 ここでは、今後における介護福祉士の将来性を解説します。 ①介護福祉士の需要はどんどん増える 今後、介護福祉士の需要はさらに増していくことでしょう。 その背景には、「2040年問題」と「2054年問題」が大きく作用しています。 2040年問題は、2025年から2040年までの15年間に現役人口が1,000万人減少する課題で、生産年齢人口の急激な減少により、労働力不足が深刻化します。 また、2054年問題は、高齢者が急増し、全人口の約25%が75歳以上に達する未知の超々高齢化社会に突入する課題です。 2054年まで高齢者が増加し続けるため、介護福祉士の需要は高まることが予測されます。 介護福祉士は、知識と経験が求められ、人手不足に歯止めをかけられる存在です。 将来的にも需要が続き、環境改善が進んでいるため、介護福祉士の将来は明るいと見込まれます。 ②国家資格を取得すると多方面でもニーズがある 介護福祉士国家資格を取得すると、介護職以外の多方面でもニーズが高まります。 介護施設内の業務だけではなく、リハビリやIT分野でも活用できるほか、理学療法士や人工知能(AI) と連携し、新しい技術の導入が求められています。 また、ハンドケアや音楽療法、アニマルセラピーなど、多様な治療や療法にも対応できます。 さらに、出産や育児で一時離れていてもニーズがあるので、すぐに仕事に復帰することも可能です。 ③介護福祉士の平均年収 実際に介護福祉士として働いた場合、平均年収はどのくらいになるのでしょうか。 出典:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果:第136表」 厚生労働省が発表した「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均給与額は331,690円です。 同じ介護職である初任者研修修了者が302,910円、同じく実務者研修修了者が302,500円ですので、年収では約300,000円以上も介護福祉士の方が高いことがわかります。 関連ページ:三幸福祉カレッジ「介護福祉士の平均年収はいくら?給料アップのために知りたいお金事情を解説」 4.介護福祉士で働くメリット 介護福祉士は、他の介護支援と比べ年収が高く将来性は明るいですが、その他にも多くのメリットがあります。 キャリアアップを図れる 勤務する施設によって、主任やリーダーのポジションは介護福祉士に限定されることがあります。 経験を積んでいくことで、認定介護福祉士や医療系専門職へのキャリアチェンジや独立も可能です。 転職や就職時にも介護福祉士国家資格は強力な武器となり、即戦力として活躍できます。 全国で通用する資格であり、引っ越しやブランクがあっても採用の際には有利に働きます。 資格手当で給与が高くなる 介護福祉士は、基本給に加えて資格手当が支給されることが一般的です。 資格手当は勤務する施設などにより異なりますが、平均で5,000円〜30,000円程度が多いです。 2019年の処遇改善では、勤続10年以上の介護福祉士に平均月80,000円の加算が発表され、今後ますますの待遇向上が期待されます。 参考:厚生労働省「介護人材の処遇改善について(P.36)新しい経済政策パッケージ(抜粋)」 長年続けられる 介護福祉士に限らず、介護職は年齢や性別に制限がなく、定年後も再雇用が一般的です。 非正規雇用の場合は、定年制度がないため年齢に拘束されず柔軟に働ける上、ニーズが高いため長年続けていくことが可能です。 また、年齢が高くなるほど自身も介護する経験が出てくることもあり、その介護経験を生かすこともできます。 5.介護福祉士で働くデメリット 介護福祉士は、キャリアアップが図れ長年続けられる一方で、体力的な負担がありコミュニケーション能力が必要な点がデメリットとして挙げられます。 体力が必要 介護福祉士として働くデメリットは、体力が必要なことです。 特に入浴や移乗の介助では、腰や足を痛めてしまう人も多いので、体力的に自信のない人はデイサービスやデイケアなど体への負担が軽減できる職場を選択することも必要です。 また、昨今では介護ロボットやICTを導入している施設も増加しているので、導入している施設を選択肢として入れておくと良いでしょう。 コミュニケーション能力が必要 介護福祉士を含め介護職として働く上で大切なことは、コミュニケーション能力です。 人の話を聞き、行動できる能力が求まられるため、コミュニケーションが苦手な人はご利用者や他のスタッフとの関係性を構築する際に苦労します。 まとめ 今回は、今後さらに必要性が高まる介護福祉士について、具体的な仕事内容や将来性などを交えて解説しました。 介護福祉士は、数ある介護の資格の中でも唯一の国家資格で、 待ち構える2025年問題や2050年問題の影響で、介護福祉士の将来性は非常に高いです。 また、資格手当などが支給される上、家族の介護経験を生かして長年働き続けることもできます。 介護福祉士として、介護業界で今後活躍したいと思った人はぜひチャレンジしてみましょう!
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2023.12.19
介護コラム
介護施設の種類を一覧でご紹介!特徴や仕事内容を解説介護施設の種類を一覧でご紹介!特徴や仕事内容を解説 介護施設には、特別養護老人ホームをはじめ、介護老人保健施設や介護医療院などさまざまな種類があります。 いざ介護業界で働きたいと思っても、どのような施設があり、その施設の特徴や仕事内容にはどのようなものがあるのか分からず、不安になる人も多いです。 そこで今回は、これから介護職で働きたい人のために、入居施設の種類について、それぞれの特徴を仕事内容を交えて解説します。 ぜひ参考にしてください。 1.介護施設の種類を一覧でチェック 介護施設の種類は、大きくは以下の3つに分類され、それぞれの施設で提供するサービスの種類も異なってきます。 今回は、この中でも特に求人が多い「入居施設」について解説していきます。 ・入居施設 ・通所施設 ・訪問介護 参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索、公表されている介護サービスについて」 2.入居施設における公的施設と民間施設の違いは? 公的施設は、地方自治体や社会福祉法人、医療法人によって運営され、主に特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や介護老人保健施設、介護医療院などがあります。 公的施設は民間施設と比較して利用料は低めのため人気が高く、待機時間がかかりやすいためエリアによっては入居待ちの状態も多いのが特徴です。 一方の民間施設は、民間企業によって運営され、主に有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などがあります。 民間施設は公的施設と比較して利用料は高めですが、迅速な入所が可能でありサービスも充実しているのが特徴です。 3.公的施設における介護施設の特徴 こちらでは、地方自治体や社会福祉法人、医療法人によって運営されている公的な介護施設の特徴を解説します。 ①特別養護老人ホーム 「特養」と呼ばれることの多い特別養護老人ホームは、要介護度が3以上の認定を受けた人が対象で、要介護1〜2の認定を受けた人の入居には自治体の特別な許可が必要です。 介護保険により手頃な価格でサービスを提供し、看取りまでのケアを行っています。 最近では、10人以下の少人数グループを生活単位として区分けしたユニット型が増え、より充実した介護を提供できるようになりました。 在宅復帰を念頭に、介護が必要な人を受け入れ、日常生活の支援や機能訓練、療養上のお世話などを行います。 入所者の意思と人格を尊重し、常に入所者の立場に立ったサービス提供が求められます。 要介護度が高い利用者が多いため介護スキルの向上が見込まれるほか、他の介護施設と比較して給与が高めに設定されているのが特徴です。 ②介護老人保健施設 「老健」と呼ばれることの多い介護老人保健施設は、在宅生活への即時の復帰が困難な高齢者が、数カ月間の滞在を目的とした施設です。 入所期間は他の介護施設に比べて短く、理学療法士や作業療法士などの専門職が常駐し、高品質なリハビリを提供します。 老健は特養と異なり在宅復帰を目指す施設のため、リハビリや医療、介護などを提供する際に、その人の持っている能力に応じて自立をサポートすることが求められます。 医療やリハビリの知識の拡充が見込まれるほか、スキルの向上や在宅復帰支援による達成感、専門スタッフとの連携を通じた経験の積み上げができる、要介護度が低い利用者が多く身体的負担が軽減できるのが特徴です。 ③介護医療院 2018年4月に創設された介護医療院は、充実した医療設備を整え、特に高い医療ニーズを持つ要介護者に対応可能な施設のため、看取りケアやターミナルケアなども受けることができる終のすみ家として入居する人が多いです。 長期療養が必要な方を受け入れ、自立した生活をサポートするという側面があるため、入所者の意思を尊重したサービス提供が求められます。 医療と介護の両方の性格を備えているため、高齢者介護および看護に関する広範な知識やスキルが身につくほか、多職種との連携でコミュニケーションや協調性が向上できる、将来のキャリアアップに役立てることができるのが特徴です。 4.民間施設における介護施設の特徴 次に、民間企業によって運営されている介護施設の特徴について解説します。 ①介護付き有料老人ホーム 介護付き有料老人ホームは、本格的な介護と生活支援を行う施設です。 生活介護だけではなく、必要に応じて看護やリハビリのサポートも行うなど、入居者の状態に応じて多岐にわたるサービスを提供しています。 運営会社が介護以外のさまざまな事業を行っているケースがあるため、住宅建築費用や資格取得支援をはじめとする福利厚生制度が充実しているほか、入居費用の高い施設では高級ホテルのような外観や内観をしており、建物同様にハイクラスな接遇を求めるため接遇スキルを向上できるのが特徴です。 ②住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、自立から一定の要介護度まで広く入居者を受け入れている施設です。 生活を豊かにするためのさまざまなイベントやレクリエーションを提供し、他の入居者とのコミュニケーションが円滑に図れるようサポートします。 基本的に生活支援サービスを提供しており、介護サービスを提供することは少ないため、身体的な負担の軽減が図れるほか、要介護度が低い利用者が入居されており、入居期間が長くなる可能性があるため、長い期間で利用者と関わることができるのが特徴です。 ③サービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅は、介護施設というよりも住宅として位置づけられており、外出や外泊が可能で、自由度が高くのんびりと老後を過ごすことができます。 一般型と介護型の2つに分けられ、一般型では外部事業者が提供する居宅サービスを利用し、介護型では担当の介護職員がサービスを提供します。 また、安否確認や生活相談の提供が必須のため、緊急時における適切な対応やサービスが提供できる環境が求められます。 自立した生活を送れる入居者が多いため、身体介護は少なく、1日のスケジュールはきっちりと決めずに入居者に合わせて業務を進めていくため、臨機応変な対応を身につけることができるのが特徴です。 ④グループホーム グループホームは、5名〜9名程度と少人数の認知症患者がユニットを形成し、専門職員のサポートを受けながら共同生活を営む施設です。 入居者の能力に応じて、洗濯や料理などの役割を分担し、自分でできることは自分で行いつつ、できないことを介護職員がケアを行います。 アプローチの方法により、認知症の進行を緩やかにし、利用者が自立した生活を送ることできるようにするため、認知症の症状を十分に理解した上で、自分でできることは自分で行えるよう、一歩下がって見守りながらサポートできる能力が求められます。 1ユニット5名〜9名程度の少人数制で入居者に寄り添ったケアができるほか、身体介護が少なく高齢者との距離が近く信頼関係が築きやすい、高齢者の認知症ケアに特化した知識が得られるなどが特徴です。 参考:厚生労働省「介護事業所・生活関連情報検索、公表されている介護サービスについて」 5.介護施設で働くメリット では、実際に介護施設で働くことで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。 介護施設で働くメリットには、主に以下の5つが挙げられます。 1. 勤務時間の柔軟性が高く、シフト制で自分都合の勤務時間が選びやすい。パート勤務や家庭との両立もしやすい。 2. 年齢や性別、学歴に制約がなく、介護職は幅広い世代が活躍できる。50代や60代も多数働いており、経験や人間性が重視される。 3. 就職、転職がしやすく、需要が高まる高齢化社会で介護施設が増加。現場の雰囲気や働き方が異なり、柔軟に選択が可能である。 4. 親の介護にも役立つ知識や経験が身につき、介護職の勤務形態が両立に適している。介護制度の知識は親の介護時に有益となる。 5. 資格取得で収入アップやスキルアップが可能である。介護福祉士資格は、経験を生かし受験可能で、他の資格取得もキャリアアップに寄与する。 関連ページ:三幸福祉カレッジ「【意外と知られていない】介護職で働く5つのメリット」 6.まとめ 今回は、これから介護職で働きたい人のために、介護施設の種類について、それぞれの特徴や仕事内容を交えて解説しました。 介護施設の種類は、提供する介護サービスの内容、施設の運営が自治体や民間かによって異なり、介護施設によって特徴や仕事内容がさまざまです。 介護施設で働くことは、自分都合の勤務時間が選びやすく家庭との両立がしやすい、幅広い世代が活躍できる、需要が高まっているため就職や転職がしやすい、親の介護にも役立つ知識や経験が身につく、資格取得で収入アップやスキルアップが可能になるなど、多くのメリットが得られます。 今回の記事を参考に、自分に合った介護施設を見つけ、介護職として活躍しましょう!
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2023.11.30
介護コラム
フィリピン人の特徴は?介護士が多い理由や雇うメリットを解説フィリピン人の特徴は?介護士が多い理由や雇うメリットを解説 昨今、介護業界では多数のフィリピン人が活躍しています。 活躍している背景には、フィリピン人の多くが常に明るく陽気な性格のため、高齢者からも人気があることが挙げられます。 その他にも、元来フィリピン人が持っているさまざまな特徴が影響しています。 そこで今回は、フィリピン人の特徴について、介護士が多い理由や雇うメリットなども交えて解説します。 特に、今後フィリピン人を介護士として受入れを検討している事業所の人は参考にしてみてください。 フィリピン人の介護士が日本で働く理由 日・フィリピン経済連携協定(EPA)は、2006年(平成18年)9月9日に署名され、2008年(平成20年)12月11日に発行されました。この協定に基づいて、フィリピンからの看護師・介護福祉士候補者を受入れる仕組みができました。 フィリピン協定では、看護師や介護福祉士になるための2つのコースが提供されており、1つは病院や介護施設で働きながら資格を取得する「就労コース」、もう1つは介護福祉士として学業を積む「就学コース」があります。 この協定によって、フィリピンから日本への看護師・介護福祉士候補者の受入れが可能になりました。 表1 出典:厚生労働省「フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」 厚生労働省によると、2023年(令和5年)3月28日時点で、フィリピン人介護福祉士候補者は就労コースで2,680名に達しています。 表2 出典:公益社団法人国際厚生事業団「外国人介護士の現状〜EPAによる受入れを中心として〜」 また、2017年に公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)から発表された雇用している外国人介護労働者の国籍と人数によると、フィリピンが全体の41,4%を占めて最も多く、介護分野の外国人介護職員数は3,500人と見込まれており、日本にいるフィリピン人介護士がいかに多いのかがわかります。 フィリピンよりも日本のほうが給与が高い フィリピン人介護士が日本で働く理由として大きな要因の1つが給与の違いです。 厚生労働省によると、2017年におけるフィリピンの平均日額は約1,120円(415ペソ)、平均月収は22,400円です。 一方、日本で介護士として働く人の平均月収は約23万2,000円です。 フィリピンでは多くの人が貧困層であり、国内で仕事を探すことは難しいため、日本の介護の仕事は魅力的なのです。 参考:厚生労働省「東南アジア地域にみる厚生労働施策の概要と最近の動向(フィリピン)339P」 参考:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 第84表 介護従事者等の平均給与額等(日給の者)」 日本は治安がよく住みやすい 日本には約27万7,400人もの在日フィリピン人が暮らしているため、フィリピン人にとって日本は治安が良く住みやすい国として評価されています。 特に東京都足立区竹ノ塚はリトル・マニラとして知られ、フィリピン人のコミュニティが盛んです。 また、 日本は24時間開いているスーパーやコンビニエンスストアなどが多数あり、日常生活で困ることがない点で、日本は世界でもトップクラスの治安を誇り、多くの外国人にとって魅力的な国と言えるでしょう。 フィリピン人の受入れ制度や条件をご紹介 フィリピン人をはじめとする外国人介護人材の受入れの仕組みは以下の4つです。 • 特定技能ビザ • 在留資格「介護」 • EPA(経済連携協定) • 技能実習 関連ページ:三幸福祉カレッジ「外国人介護人材の受入れ制度について」 特定技能ビザ 特定技能ビザは、介護など14の分野で外国人を雇用するための在留資格で、2019年に導入されました。このビザを取得するには、海外での技能試験と日本語試験の合格が必要です。対象は17歳以上で、日本国籍者や前回試験後45日間は受験ができません。 また、日本国内で受験する場合は在留資格を持つ必要があります。 参考:厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」 在留資格「介護」 在留資格「介護」は、2017年より適用された制度で、国籍に関係なく日本の介護福祉士養成施設で学び介護福祉士資格を取得した外国人が対象です。 在留期間は通常5年で、条件を満たせば更新も可能です。 在留資格「介護」では、外国人介護福祉士は日本人と同等以上の給与を受けるため、待遇面での差別はありません。 また、在留資格「介護」を持つ家族も家族滞在ビザを取得できます。 参考:厚生労働省「在留資格「介護」について」 EPA(経済連携協定) EPA(経済連携協定)は、日本と他国が経済連携を強化し、貿易障壁を撤廃することで経済協力を促進する制度です。 介護分野では、フィリピンやインドネシア、ベトナムからの人材受入れが行われています。 介護福祉士候補者として来日し、日本で介護の研修と就労を経て介護福祉士資格を取得します。 在留期間は通常4年で、家族の同伴は許可されていません。 言語能力は入国前に日本語能力検定N5以上が必要で、介護経験は看護学校卒業または大学卒業+フィリピン政府認定介護士の資格が必要です。 参考:厚生労働省「インドネシア、フィリピン及びベトナムからの外国人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」 技能実習 技能実習は、外国から知識や技術を学び、帰国後に国の経済発展に貢献するために日本に一定期間滞在する制度です。 介護分野では、実習生が介護施設で技術や知識を習得し、雇用契約が必要です。 主に東南アジアからの受入れがあり、家族の同伴は認められていません。 入国資格には、年齢や日本語能力などの要件があり、初年度はN4程度の日本語能力が必要ですが、1年後にN3程度に向上するよう条件が設定されています。 N3レベル未達成でも、介護技術の向上を条件に3年間まで実習を続けることが可能です。 参考:厚生労働省「介護職種の技能実習制度について」 フィリピン人の特徴は? フィリピン人には以下のような特徴があります。 • 親日でフレンドリーな性格 • お年寄りや家族を大切にしている • 計画的な行動が苦手 • 真面目にコツコツ働く • サービス精神が旺盛 • 日本語を覚えるのが早い • コミュニケーション能力が高い 親日でフレンドリーな性格 フィリピン人は、温和で友好的、親しみやすい性格です。 フィリピンの温暖な気候は、国民の生活様式と陽気な性格に影響を与え、お祭りなどの楽しい時間を好む傾向があります。 親日的な人々も多く、日本文化に興味を持っており、日本企業や製品に親しんでいます。 お年寄りや家族を大切にしている フィリピン文化では、家族が至上で、お年寄りや家族との絆が非常に重要視されています。 お年寄りや家族が体調を崩した場合、仕事よりも家庭を優先する傾向があります。 フィリピンの人口構成は若年層が多く、家族のサポートが必要な人も多いため、家族の健康を優先することは一般的です。 計画的な行動が苦手 フィリピン人は、陽気で楽観的な性格の一方で、時間を守ることや細やかな計画を立てることは苦手です。 また、集合時間に早く着くことは相手を急かすという思考があるため、時間より遅れて到着することもしばしばです。 時間に対する厳格さと計画力が特徴の日本人と比較すると、時間観念に大きな違いが見られます。 真面目にコツコツ働く フィリピン人は、生活水準向上のため献身的に働きます。 多くの人が自己に誇りとプライドを持ち、率直に感情や思考を表現する文化があるため、のんびりとした印象を持たれがちですが、実際には真面目で熱心な労働者が多いです。 大家族が多いため、家族を支えるために働かなければならないという責任感が強い傾向があります。 サービス精神が旺盛 フィリピーノ・ホスピタリティという言葉があるほど、フィリピン人はサービス精神が旺盛です。 この精神は、平和的な共存を大切にし、誰とでも仲良く過ごしたいという国民性から生まれています。 フィリピン人のホスピタリティ精神は、介護業界に限らず多くのサービス業で高く評価されており、スキルを向上させることで質の高い介護サービスを結びつけることができます。 日本語を覚えるのが早い 上述した厚生労働省発表の「フィリピン人看護師・介護福祉士候補者の受入れについて」の表を見ると、受入れは2009年(平成21年)からスタートし、一時的に減少したものの、その後は増加傾向が続いています。 また、年々日本語能力試験N2以上を持つ候補者が増え、日本語教育環境が向上していることがわかります。 このことからも、フィリピン人は日本語を覚えるのが早いと言えるでしょう。 コミュニケーション能力が高い フィリピンの公用語は英語であり、多くの人々が国外での就職を目指し高い英語力を備えているため、コミュニケーション能力は高いと評価されています。 また、フィリピン人は深く敬って態度を慎むという意味のある敬虔なキリスト教が多く、幼少期からボランティア精神や社会福祉への意識が根付いており、新しい環境でも他者と積極的にコミュニケーションを取り調和を図る姿勢が魅力的です。 外国人介護士として受入れる際の注意点 フィリピン人は、日本人に近い性格ですが国民性の違いがあるので同じように扱わないことが大切です。 フィリピン人を外国人介護士として受入れる際は、以下について留意しましょう。 • 人前で怒らず1対1で話し合う • 一度にたくさんの仕事を振らない 人前で怒らず1対1で話し合う フィリピン人は、問題解決のために努力しますが、公然の場で厳しい指摘はプライドを傷つけ、コミュニケーションに支障をきたします。 フィリピン文化を尊重し協力的な態度を持つことで、円滑な関係を築くことが重要です。 メンツを大切にするフィリピン人には、人前で怒ることは避け、個別で対話することを心がけましょう。 一度にたくさんの仕事を振らない フィリピン人の楽観的な性格は良い部分ですが、納期に対してトラブルの原因になることがありますので、リマインダーやフォローアップを通じて時間の重要性を再確認しましょう。 一点集中が得意ですので、同時に多くの仕事を振らないことが良い結果につながります。 最初に決めた業務に集中し、用意したマニュアルに基づいた指示を守らせることがポイントです。 まとめ 今回は、フィリピン人の特徴について、介護士が多い理由や雇うメリットなども交えて解説しました。 フィリピン人は、親日でフレンドリーであり、お年寄りや家族を大切にする上、サービス精神旺盛で真面目にコツコツと働く特徴があるので、介護士として活躍できる要素が多いです。 フィリピン人を介護士として雇う際は、プライドを傷つけないよう人前で怒ることは避け、一度にたくさんの仕事を振らずに最初に決めた業務に集中させる環境づくりが成功への鍵でしょう。
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2023.10.30
介護コラム
ケアマネジャー(介護支援専門員)の年収は低い?他職種との給料の違いや将来性を解説利用者と家族がどのようなサービスを必要としているのかを聞き出し、ニーズを把握した上でケアプランを作成し、適切なサービスを受けることができるようサポートするケアマネジャー。 利用者と家族、サービスを提供する事業者とをつなぐ重要な役割を持つケアマネジャーは、一体どのくらいの年収になるのか気になる人も多いです。 そこで今回は、利用者や家族の生活の改善に直結する仕事であるケアマネジャーの年収について、他職種との給料の違いや将来性などを交え解説します。 1.ケアマネジャー(介護支援専門員)の平均年収 ケアマネジャーの平均年収はいくらぐらいなのでしょうか。 厚生労働省の情報をもとに、常勤での平均年収をはじめ、施設別やパート・アルバイトでの平均年収を算出してみました。 ①ケアマネジャーの平均年収は約435万円 厚生労働省が発表した令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所における常勤ケアマネジャーの平均月収は362,700円です。 出典:厚生労働省「令和4年介護従事者処遇改善状況等調査結果:第117表」 上記の表にある常勤の平均給与額を1年(12カ月)に換算すると、 「362,700円×12=4,352,400円」となり、平均年収は約435万円です。 また、前年度令和3年12月における、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所におけるケアマネジャーの平均月収は347,950円でした。 出典:厚生労働省「令和4年介護従事者処遇改善状況等調査結果:第117表」 上記の表にある常勤の平均給与額を1年(12カ月)に換算すると、「347,950円×12=4,175,400円」となり、平均年収は約418万円です。 令和3年12月と令和4年12月の1年間を比較しても、 年収で約17万円アップしていることがわかります。 ②施設別で見る平均年収 介護サービスでは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)などの施設に入居して24時間体制で介護を受けることができる施設系と、訪問介護や通所介護などの自宅で生活を営みながらサービスを受けることができる居宅系とに大別されますが、それぞれのサービス事業所における常勤ケアマネジャーの平均年収はいくらぐらいなのでしょうか。 ケアマネジャーの施設別月収 出典:厚生労働省「令和4年介護従事者処遇改善状況等調査結果:第102表」 上記の表にある常勤の平均給与額を1年(12カ月)に換算して求めた平均年収は、 施設系の介護老人福祉施設で約498万円、介護老人保健施設で約477万円、居宅系の訪問介護で約438万円、通所介護で約376万円です。 24時間体制で介護を提供する性質上、夜勤などを含む変則的な勤務のある施設系が、居宅系よりも年収は高い傾向です。 ③パート・アルバイトの平均時給 では、パート・アルバイトで勤務するケアマネジャーの平均時給はいくらぐらいなのでしょうか。 出典:厚生労働省「令和4年介護従事者処遇改善状況等調査結果:第119表」 上記の表にある平均給与額を実労働時間数で割って求めた平均時給は、常勤で約1,709円、非常勤で約1,611円です。昨今よく聞かれる「時給1,000円を」と言われる日本において、パート・アルバイトでのケアマネジャーの時給はかなり高い水準といえます。 2.ケアマネジャーの年収を他の介護系職種と比較 次に、ケアマネジャーと他の介護系職種とを比較した場合、平均年収ではいくらぐらいの差が生じるのでしょうか。 厚生労働省が発表した令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果で見てみましょう。 出典:厚生労働省「令和4年介護従事者処遇改善状況等調査結果:第117表」 上記の表にある常勤の平均給与額を1年(12カ月)に換算して求めた平均年収は、ケアマネジャーが約435万円に対し、看護職員が約448万円と最も高く、その他は介護職員が382万、生活相談員・支援相談員が約411万円などとなっており、ケアマネジャーは看護職員の次に高い平均年収の水準です。 3.ケアマネジャーの年収から見る将来性とは 令和3年12月と令和4年12月を比較した平均年収の差からもわかるように、ケアマネジャーの年収は年々上昇しています。 今後の日本社会においては、令和7年(2025年)に団塊の世代が75歳以上となり、要介護のリスクが高くなる後期高齢者の人口とともに単身世帯や高齢者のみの世帯も増加し続けるため、ケアマネジャーはもとより介護職全体のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。 さらに、 在宅介護のニーズが増す中、15歳から64歳までの生産年齢人口が減少し続けるため、需要に対しての専門職の確保は困難を極めます。 このような日本における高齢社会問題は深刻であるため、ケアマネジャーの将来性は増すばかりでしょう。 4.ケアマネジャーになるには では、実際にケアマネジャーとして活躍するにはどうしたら良いのでしょうか。 ケアマネジャーになるには、各都道府県が管轄、実施している公的資格を取得する必要があります。 介護福祉士のように国家試験ではありませんが、介護支援専門員実務研修受講試験を受験します。 ①ケアマネ試験の概要 ケアマネジャー試験の受験資格については2018年に一部改訂がありました。 以前は医療や介護の無資格者でも介護の実務経験が10年以上あれば受験資格を得ることができましたが、現在では以下のどちらかの要件を満たさなければ受験はできません。 関連記事 ケアマネジャーになるには?試験の受験資格や合格ラインについて徹底解説! ケアマネ試験情報 受験日程から合格後の流れまでを詳しく解説 ②介護福祉士からケアマネを目指す場合 介護福祉士は、保健・医療・福祉に係る法定資格保有者に該当しますので、介護福祉士として実務経験が5年以上および900日以上の従事日数を積むことが必要です。 なお、従事日数の算定には雇用形態は問わないため、パートやアルバイトであってもケアマネジャー試験の受験は可能です。 ③ケアマネ資格取得までの道のり ケアマネジャー試験を受験するだけではケアマネジャーとして活躍できません。 ケアマネジャー試験の受験し合格した後は、都道府県ごとに実施される介護支援専門員実務研修を受講し、さらに都道府県への登録が必要です。 <ケアマネジャー資格取得までの流れ> 参考:WAM NET「実務研修受講試験からの流れ」 5.まとめ 今回は、利用者や家族の生活の改善に直結する仕事であるケアマネジャーの年収について、他職種との給料の違いや将来性などを交え解説しました。 令和3年12月と令和4年12月を比較しても、平均年収は約17万円アップしています。 また、 令和7年(2025年)に団塊の世代が75歳以上となり、要介護のリスクが高くなる後期高齢者の人口とともに単身世帯や高齢者のみの世帯も増加し続けるため、ケアマネジャーはもとより介護職全体のニーズはさらに高まっていくことが予想されます。
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2023.10.24
介護コラム
介護福祉士の平均年収はいくら?給料アップのために知りたいお金事情を解説介護福祉士の平均年収は約400万円と言われています。月収にすると約32万円です。 本記事では給料アップできる方法や気になるボーナス、併用したい資格についてご紹介しているので参考にしてください。 <参考>コロナでなぜ急増?異業種から介護職への転職を選ぶ理由 しかし、雇用の安定が魅力的な一方で「もう少し収入があったらな…」「給料を上げるにはどうすればいいんだろう」と考える人は少なくないでしょう。 社会的ニーズの高い介護業界でキャリアアップできる術を知っておくことは、今後仕事に困らないと言っても過言ではありません! 給料アップが目指せる資格はどれ? 資格を取ったらどのくらい給料は上がるの? 介護職員処遇改善加算ってなに? など、この記事では介護職で給料を上げるためにできることや国が行なっている施策など、気になるお金事情についてわかりやすく解説していきます。 関連記事 介護福祉士になるには-試験・資格取得までの流れと受験資格について- 介護福祉士の平均年収は約400万円 厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均月収は328,720円でした。 平均年収から12ヶ月分足して単純計算すると3,944,640円となり、平均年収は約400万円だということがわかります。 介護職のキャリアアップで平均年収はどのくらい上がるか? 現在、介護職のキャリアアップは国家資格「介護福祉士」を目指すルートに一本化されているため、いつかは取得したいと考えている方も多いでしょう。 介護福祉士を受験するためには受験資格が必要であり、最もメジャーである「実務経験ルート」を活用する場合、介護現場での実務経験が3年以上+実務者研修の受講が必要となります。 では、介護福祉士になると平均年収はどのくらい上がるのでしょうか。 まずは、以下の表より資格別の平均給与額を見てみましょう。 参照:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」 厚生労働省が発表したデータによると、介護福祉士の平均給与額は32万8,720円。 介護職のスタート資格と呼ばれている「介護職員初任者研修」取得者の平均給与額30万0,510円と比べると+28,210円、「実務者研修」取得者の平均給与額30万7,330円と比べても+21,390円多いことがわかります。 つまり、上記を参考に1年間の給料(年収)を計算すると「介護職員初任者研修」や「実務者研修」のみ取得している場合と比較して、平均年収は30万円以上も上がるということになります。 無資格者との給料比較 介護職員の求人を見ていると「無資格OK」「未経験者歓迎」という文字を目にしたことはありませんか。 確かに介護職は無資格・未経験からでもスタートできることが魅力の1つですが、給与面では有資格者と大きな差があることは否めません。 施設別に発表されているデータの中から、比較的給与が高い「介護老人福祉施設」の平均給与額を見ると、保有資格なしの平均給与額は29万3,060円。 参照:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」 介護福祉士の平均給与額35万6,310円と比較して月6万3,250円の差があり、年収は75万9000円も高いことが確認できます。 平均年収と生涯年収で比較すると? 先ほどまでは、月ごとの平均給与額を元に年収を計算し、その違いを比較しました。 では、もう少し長いスパンで考え、平均年収と生涯年収を比較すると資格の有無でどれほど収入の差が出るのでしょうか。 全体の数値を元に、「25歳から60歳までの35年間」「介護職」「正社員」という条件で働くと仮定した場合の数値がこちら。 介護福祉士と保有資格なしの場合で比較すると、なんと生涯年収差は24,091,200円…!無資格の場合と比べて、介護福祉士の涯年収が2千万以上も多いことになります。 資格を持っていないことでできない業務が多少あるとはいえ、実際は有資格者とほとんど同じような仕事をしているという方も少なくないのではないでしょうか。 介護福祉士は、未経験でも働きながら最短3年で取得を目指せる国家資格です。 給与アップを目指すためにも、転職を考える前に介護福祉士の資格を取得する価値は大いにあると言えるでしょう。 今後の介護福祉士給料は増える? ご存じのとおり、介護職員の人材不足は社会的な課題となっており、退職理由の1つとして「収入が少ない」という点を挙げる割合が一定数いることが分かっています。 そこで、国として取り組むことになったのが、「介護職員処遇改善加算」という介護職員の更なる処遇改善です。 特に2019年にスタートした「特定処遇改善加算」により介護福祉士の給与アップが期待できると言えるでしょう。ここでは特定処遇改善加算について詳しく解説します。 介護職員処遇改善加算とは 介護職員処遇改善加算とは、2009年に介護職員の賃金改善に充てることを目的に創設された制度のこと。 わかりやすく説明すると「介護職員が安心して働き続けられるように、キャリアアップの仕組みづくりや職場環境を改善した会社には、介護職員の給与を上げるためのお金を支給しますよ!」といった、とてもありがたい国の施策です。 ただこれまでも取り組み自体は行われてきましたが、さらなる介護人材確保のため、2019年(令和元年)10月に「特定処遇改善加算」という新たな制度がスタートしました。 特定処遇改善加算とは 特定処遇改善加算には、「勤続10年以上の介護福祉士」を基本に月8万円以上の給与アップもしくは年収440万円以上に設定するといったルールがあります。 参照:『特定処遇改善加算』とは?"介護福祉士勤続10年の給与アップ”はどうなる?! 「勤続10年以上の介護福祉士」と設定している背景には、経験・スキルのある職員に重点化を図り、離職率を下げたい、介護業界で長く勤めてほしいという思いがあるのでしょう。 実際、2019年(令和元年)10月に「特定処遇改善加算」制度が導入されたことで平均給与額が上がっていることがわかります。 参照:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果のポイント」 介護福祉士を取得する給料以外のメリット 仕事の裁量が増える 介護福祉士の資格を持っていると、現場の介護業務だけでなく管理職という道が拓ける可能性も。 例えば、サービス提供責任者・生活相談員・チームリーダーなど、一定数の利用者がいる事業所に対して1人以上は役職をおくこと!といった配置義務があり、介護福祉士の有資格者でなければならないものもあります。 転職の際に役立つ 介護福祉士は、豊富な求人数から自分に合った働き方を選びやすいため、他業種から介護業界へ転職し、介護福祉士を目指す方も増えています。 介護職の中でも、介護福祉士はあらゆる現場において求められている資格と言えるため、就職・転職の際に有利となるでしょう。 介護福祉士にはボーナスがある? 都内の求人情報を確認したところ、介護福祉士のボーナス・賞与は具体的な数字を掲載していませんでしたが、一般では年間の支給額の2.0〜4.0ヶ月分となります。 それに当てはめると60万〜120万円に。ただし、勤務先でボーナスが出ない場合もあるので念のため頭に入れておいてください。 その分、資格や夜勤などの手当がつくこともあり、給与に大きく関係してくるでしょう。おすすめの資格は以下で説明します。 給料UPのために介護福祉士の資格と併せて取得したい資格 ケアマネジャー(介護支援専門員) ケアマネジャーとは、ご利用者様やご家族が「どんなサービスを必要としているのか」というニーズを把握し、適切な介護保険サービスが受けられるようケアプランを作成するお仕事。 介護サービスを必要としている人とサービスを提供する事業所をつなぐ、大切な役割です。 また以下の平均給与額のとおり、介護職の中でも比較的給与が高い職種であることがわかります。 参照:厚生労働省「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」 ▶︎ケアマネジャーの詳細・受験対策講座はこちら まとめ 今回の記事では「介護職のお金事情」について解説してきましたが、介護福祉士資格の有無によって生涯年収が2,000万円以上も違うというデータに衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。 給与が安いと言われがちな介護職ですが、資格取得や国の制度をうまく活用することで想像以上に給与アップは期待できます。 すでに介護職に就いているなら、介護福祉士を目指さないなんてもったいない! 三幸福祉カレッジでは、介護福祉士になるための対策講座を多数ご用意しております。 ライフスタイルに合わせて、通信通学から勉強方法を選ぶことも可能ですので、まずは近くの教室を探してみましょう!
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2023.09.25
介護コラム
給付管理業務とは?ケアマネが行う仕事内容について解説ケアマネジャーが行う重要な業務のひとつに「給付管理」があります。 2000年4月から介護保険制度がスタートして以降、ケアマネジャーの仕事は、利用者に対する介護業務よりも給付管理などの事務作業が大半を占めています。 この給付管理は、金銭の支払いがからむだけに、一歩間違えば利用者やサービス事業者にも多大な迷惑をかけます。 そこで今回は、現在介護福祉士として働いており、今後ケアマネジャーなどの管理者を目指す方向けに、給付管理について業務の流れや注意点を交え解説します。 給付管理業務とは 利用者が介護保険サービスを利用する際、サービスを提供する事業者が、利用者負担分を除いたサービス利用料である介護給付費を国民健康保険団体連合会に請求します。 そして国民健康保険団体連合会は、請求に基づき審査を行ったうえで、サービスを提供する事業所に給付を行います。 その審査を行う際には、ケアマネジャーが作成する下記5つの書類が必要になり、保険給付のルールに従って作成します。 サービス利用票 サービス利用票別表 サービス提供票 サービス提供票別表 給付管理票 上記の一連の業務を「給付管理」といいます。 参考ページ:WAM NET 給付管理業務 給付管理業務の流れ 出典:宮城県国民健康保険団体連合会 1.2保険給付の基本的な流れ 居宅サービスの基本的な流れは上記の表の通りですが、ケアマネジャーが関わる給付管理業務は上記の表の①サービス計画の作成を依頼・②サービス利用票の交付・⑤請求・⑧支払です。 居宅サービスの基本的な流れを下記でさらに詳しく解説しますので、表を見ながら確認してみましょう。 ①要介護者等は、居宅介護支援事業所に居宅介護支援サービスの提供を依頼するとともに、居宅サービス計画書作成の依頼を市町村に届け出ます。 ②居宅介護支援事業所は、要介護者等の同意を基に、サービス事業者とサービス提供について調整を行い、居宅サービス計画を作成します。また、作成した居宅サービス計画を基に、サービス利用票、サービス提供票を作成し、それぞれサービス事業所、要介護者等に交付します。 ③サービス事業所は、サービス提供票に基づき、要介護者等にサービスを提供します。 ④サービス事業者は、給付範囲に応じた利用者負担額を徴収し、領収書を要介護者等に交付します。 ⑤サービス事業所は、提供したサービスの介護給付費請求書および介護給付費請求明細書を、翌月初めに各都道府県の国民健康保険団体連合会に送付します。また、居宅介護支援事業所は、要介護者等が受けたサービスに基づき、給付管理票を作成し、居宅介護サービス計画書等の請求書とともに翌月初めに国民健康保険団体連合会に送付します。なおこの際、居宅サービス計画に変更があった場合は、その内容を反映します。 ⑥国民健康保険団体連合会は、給付管理表を基にサービス事業所の請求書等と突合し、支給限度額等の審査を行います。 ⑦保険者は、国民健康保険団体連合会に支払いを行います。 ⑧国民健康保険団体連合会は、居宅介護支援事業所およびサービス事業所に支払いを行います。 参考ページ:厚生労働省 介護給付費の請求について 給付管理業務で使用する書類 給付管理業務でケアマネジャーが使用する書類には、「サービス利用票およびサービス利用票別表」「サービス提供票およびサービス提供票別表」「給付管理票」があります。 出典:厚生労働省 居宅サービス計画書標準様式及び記載要領 サービス利用票およびサービス利用票別表 サービス利用票は月間スケジュール表で、サービス利用票別表は支払限度額管理や利用者負担などの概算書です。 月単位で毎月の居宅サービス計画と実績を記入し、予定と実績の管理を行います。また、別表上で限度額の管理と利用者負担の計算をします。 毎月サービス提供開始前に作成し、利用者の同意を得た後、利用者に交付します。なお、利用者用と事務所用のために2部作成し、1部を利用者に交付し、残りの利用者の確認を受けた1部を控えとして保管します。 サービス提供票およびサービス提供票別表 サービス事業者に対して、その事業者の分担するサービスの提供日時や内容、限度額管理などの情報提供とサービス提供指示をします。 毎月サービス提供開始前に作成し、サービス事業者に交付します。 給付管理票 保険請求の基礎データとして、月単位でその利用者に対しての居宅サービス計画での計画限度額の管理を行い、計画上の事業者名とサービス単位などを記載します。 サービス提供月の翌月の初めに作成し、サービス提供月の翌月10日までに国民健康保険団体連合会に送付します。 参考ページ:WAM NET 給付管理業務 給付管理業務の注意点 国民健康保険団体連合会の審査において請求内容に誤りがある場合は、査定や返戻が行われてしまうことがあります。 例えば、給付管理票では2,500単位と記載されているにも関わらず、サービス事業者が3,000単位で請求していると、査定で500単位が減点されてしまうように、支給限度額管理対象サービスの請求が、給付管理票に記載されている単位数を超えている場合。 また、支給限度額管理対象サービスの請求に対応する給付管理票が提出されていなかったり、記述が誤っていたりする場合。 このような場合は、給付管理票の修正や再提出が必要になるだけでなく、期日を過ぎて介護給付費の支払いが翌月以降に遅れてしまい、利用者やサービス事業者に損害を与えることにつながります。 そのため、毎月確実に給付管理業務が遂行できるよう余裕を持ったスケジュール調整をすることや、国民健康保険団体連合会に書類を提出する前にサービス提供票と給付管理票を突合させることが重要です。 まとめ 今回は、現在介護福祉士として働いており、今後ケアマネジャーなどの管理者を目指す方向けに、給付管理について業務の流れや注意点を交え解説しました。 ケアマネジャーの仕事は、給付管理業務をはじめ、利用者との契約書やケアプラン、居宅サービス計画書など、書類に追われる事務作業の連続ですが、介護保険制度を支え重大で誇り高い職務です。 利用者からの信頼や満足度を維持、向上するためにも、余裕を持ったスケジュールと各書類の突合作業を徹底しましょう。
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2023.09.22
介護コラム
ケアマネの業務「インテーク」とは?アセスメントとの違いやポイントを解説介護保険制度におけるケアマネジメントでは、生活のお困りごとの原因となる課題を分析し、課題の解決に至る道筋と方向を明らかにしていきます。そしてさまざまな社会資源の中から、最も効率的で効果的な支援を総合的に提供しながら課題解決を図っていくプロセスとそれを支えるシステムです。 そしてケアマネジャーは、プロセスに従って介護保険サービスの提供を含め、利用者の生活を支援します。 そこで今回は、そのプロセスの第一段階であるインテークについて、行う際の事前準備とポイント、アセスメントとの違いを交えてご紹介します。 インテークとは 高齢者を取り巻く問題はさまざまであり、利用者からの相談のすべてがケアマネジメントの手法を用いて支援できるとは限りません。 インテークとは、ケアマネジャーが利用者の相談に際し、主訴や要望を丁寧に聴き取り、ケアマネジメントの手法により支援を担当することが相応しいか否かを確認するための初回面接です。 電話や来所で相談をされる利用者は、さまざまな不安と期待を抱えているため、ケアマネジャーは、その不安を共感的に聴き取るとともに、一つひとつに丁寧に応え信頼関係を構築します。 参考ページ:厚生労働省 ケアマネジメントの基本 アセスメントとの違い インテークとアセスメントは行う目的が異なります。 インテークは、ケアマネが適切にケアプランを作成するための最初の情報収集を行うとともに、利用者や家族の不安を共感的に聴き取りながら、一つひとつに丁寧に応え信頼関係を構築することです。 一方のアセスメントは、情報収集で得た現在の利用者や家族の状況とこれまでの暮らしぶりから、自立したこれからの生活への意向と解決すべき課題を明らかにするとともに、阻害要因を分析し、その解決や達成のための手段を考える過程のことです。 そのためケアマネジメントのプロセスとしては、インテークが第一段階、アセスメントが第二段階になります。 参考ページ:介護の人事労務ナビ 介護のケアマネ業務「インテーク」とは?アセスメントとの違いも併せて解説 インテークの事前準備とポイント インテークで利用者と家族との信頼関係を構築するためには、事前準備が不可欠です。 電話の際は、お互いの姿が見えないため、話す態度をはじめ言葉遣いや声のトーンなどが相手にどのような印象を与えているかを意識することが重要です。特に声は明るくさわやかにふるまうように心がけることが必要です。 訪問の際は、利用者宅の住所や駐車スペースを確認するとともに、必要な書類を最低限一人分セットするなど持ち物にも留意します。 電話・訪問どちらの場合も、相手の都合の確認と時間帯への配慮を忘れないことが重要です。 また、用件を伝達する際は要領を得ない話で信頼関係を損なうことのないよう、あらかじめ質問したい事項をメモなどに簡潔にまとめておくことが大切です。 さらに、相手が心配事だったり困り事といった感情的な表現をした際は、「心配ですね」や「お気持ちを察します」など、共感的な言葉を伝えることもポイントです。 参考ページ:介護の人事労務ナビ 介護のケアマネ業務「インテーク」とは?アセスメントとの違いも併せて解説 インテークにおいて注意したいポイント インテークは、以下の3つのポイントに注意して行います。 ポイント1.問題の明確化と確認をする 利用者が困っていることや心配していること、してほしいことなどを利用者や家族が理解しやすい項目に整理し、明確にしておきます。 また、整理した問題点について「つまり〇〇さんは、〇〇ということでお困りなのですね」などと言語化して確認することが大切です。 こうして利用者とケアマネジャーの間で、扱う問題についての確認を得ることで、お互いがケアマネジメントの過程を協力して進めていくことができます。 ポイント2.秘密を保持して信頼関係を醸成する ケアマネジャーは、利用者や家族のさまざまな個人情報を深く知る立場にあるため、業務上で知り得た利用者や家族の秘密を漏らすことのないよう常に意識しておくことが必要です。 ポイント3.自己決定を促して尊重する 利用者が自立した生活を送るためには、利用者自身が直面する問題に対し自ら解決する姿勢を持つことが重要であるとともに、ケアマネジャーは支援を行うにあたり、利用者の考えや判断を尊重することが必要です。 また、ケアプランの内容などを利用者や家族が理解できるように懇切丁寧に説明し、利用者や家族が明確に自己決定できるように支援します。 参考ページ:厚生労働省 ケアマネジメントの基本 介護支援専門員実務研修受講試験にも出題 インテークは、ケアマネジメントに必要な基礎知識および技術として実務研修過程における科目の前期のカリキュラムに盛り込まれ、実務研修受講試験にも出題されています。 第21回(平成30年度)介護支援専門員実務研修受講試験では、このように出題されました。 問題47 インテーク面接について、より適切なものはどれか。3つ選べ。 相談援助者は、どのような援助ができるかについて説明する必要がある。 インテークは、初期の面接であるため、1回で終わらせる必要がある。 秘密が保持できる部屋の準備など、クライエントが話しやすい環境を整える必要がある。 クライエントの主訴に対して、相談援助者の所属する機関が対応できないことを明確に伝えるのは、望ましくない。 インテーク面接では、経過や課題について正確かつ迅速に記録する必要がある。 引用:株式会社シルバー産業新聞社 ケアマネジャー試験過去問題集 答えは1、3、5です。 まとめ 今回は、ケアマネジメントのプロセスの第一段階であるインテークについて、行う際の事前準備とポイント、アセスメントとの違いを交えてご紹介しました。 インテークは、利用者の主訴や要望を共感的に聴き取るとともに、一つひとつの相談に丁寧に応え信頼関係を構築することです。 インテークのポイントをしっかりと押さえて、利用者から信頼されるケアマネジャーを目指しましょう!
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2023.09.22
介護コラム
ケアマネ必見!介護におけるモニタリングとモニタリングシートの書き方・記入例を紹介ケアマネジャーが行う重要な業務のひとつに「モニタリング」があります。 モニタリングを適切に実施することで、利用者の身体状況の変化に対応したサービスの見直しとともに、利用者や家族との信頼関係を継続的に築くことにつながります。 そこで今回は、介護におけるモニタリングについて、行う際の目的や注意点、モニタリングシートの書き方や記入例を交えてご紹介します。 介護におけるモニタリングとは 介護におけるモニタリングとは、アセスメントに基づき作成したケアプランに沿って、介護サービスが提供されているかを確認するとともに、掲げた目標が達成されているかをチェックすることです。 モニタリングをする目的 モニタリングを行う目的は、主に三つです。 ケアプランなどの効果の評価 ケアプランに位置づけた取り組みが利用者の生活全般の解決に効果をあげているのか、利用者の取り組みをはじめ介護サービスや医療などが心身の状態や生活機能の改善と向上および維持に効果をあげているのか、さらに介護サービスが家族の生活状況や就労状況の維持や改善に効果をあげているのかを評価します。 ミスマッチの修正と調整 利用者や家族の状況は変化するため、生活ニーズや利用状況がサービスの内容とミスマッチになっていないのかを確認し、必要に応じて修正や調整を行います。 リスクの予測と対応 薬の飲み忘れや気温の変化、体調や体力の変化などにより心身の状況が悪化するリスクを予測し、早い段階で適切に対応します。 参考ページ:介護ワーカー「介護におけるモニタリングとは?実践に役立つポイント・注意点・書き方をご紹介!」 モニタリングをする注意点 モニタリングを行う際は、以下の三点に注意します。 1.利用者や家族の気持ちに寄り添う 実際に介護サービスの利用を開始すると不安なことや困ったことが出てきますので、問題を早期発見して改善するために、利用者や家族の声に耳を傾けるとともに信頼関係の構築につなげます。 2.実際にサービスを提供する担当者からの情報を活かす 利用者に直接接している介護職員からの情報は、ケアマネジャーがモニタリングを行いケアプランを見直すうえでとても役立ちます。そのため、日頃から実際にサービスを提供している介護職員とのコミュニケーションに注力することが必要です。 3.実際のサービスに立ち会う 訪問介護やデイサービスでの食事やレクリエーションなどにケアマネジャー自らが立ち会うことで、言葉だけでは伝わらない利用者の満足度や本音が把握できます。 参考ページ:WAM NET 「モニタリング時の注意点」 サービスにより実施方法がさまざま 提供しているサービスが施設系か居宅系かによって、モニタリングを実施する人や時期が異なります。 介護老人福祉施設や介護老人保健施設などの施設系サービスの場合は、施設に勤務するケアマネジャーが3カ月に1回程度の頻度で実施します。施設によって毎月や6カ月に1回の頻度で実施することもあります。 一方、訪問介護や訪問リハビリなどの居宅系サービスの場合は、各利用者を担当するケアマネジャーやサービス提供責任者が1カ月に1回、利用者の自宅に訪問して実施します。また、モニタリングの期間が1カ月以上空いてしまうと減算の対象になるため注意が必要です。 その他、福祉用具のレンタルに係るモニタリングの場合は、福祉用具専門相談員が年に2回の頻度で実施することを義務付けています。 モニタリングシートの書き方・記入例 モニタリングシートは、短期目標の達成度や介護サービスの評価はもちろんのこと、利用者や家族の希望、新たな生活課題やケアプランの変更の必要性の有無なども記載します。その際、第三者が見ても分かりやすく取り組みやすいように記載することが重要です。 モニタリングシートの具体的な記入例 【短期目標】 転倒前のように自宅から100m先の美容室まで歩いて行くことができる。 【サービス内容】 通所介護で週2回、下肢筋力トレーニングを行う 【希望】 利用者:転倒前のように歩けるようになって、自分で美容室に行きたい。 家族:美容室まで付き添いしているが、毎回では限界があるので、本人で行くようになってくれたらありがたい。 【目標達成の評価】 利用者:「まだふらつくことはあるが、何とか転ばずに歩けています」とのこと。週2回の通所介護で体調に影響がないか聞くと「通所の翌日に疲れは出るが、2日空いているので大丈夫です」とのこと。 家族(長男):現在の週2日で少しずつ効果が期待できそうなので継続できるといい。 ケアマネジャー:計画通りにトレーニングを実施されている。利用者の満足度も高く、自立支援のために有効と評価されるため継続して支援する。 【今後の方針】 ふらつきや通所の翌日に出る疲れなども考慮しつつ利用者の意思を尊重しながら、理学療法士と連携して下肢筋力トレーニングをもう3カ月継続する。 参考ページ:かいごガーデン「介護におけるモニタリングとは?再アセスメントの役割も」 介護支援専門員実務研修受講試験にも出題 ケアマネジャーとしてケアマネジメント業務を行うためには、実務研修受講試験の合格が必要です。 その実務研修受講試験の出題範囲には、「居宅サービス計画、施設サービス計画及び介護予防サービス計画に関する科目」として、介護におけるモニタリングが含まれています。 参考ページ:島根県ホームページ 「令和3年度介護支援専門員実務研修受講試験に関する情報・試験問題出題範囲」 まとめ 今回は、介護におけるモニタリングについて、行う際の目的や注意点、モニタリングシートの書き方や記入例を交えてご紹介しました。 介護におけるモニタリングの目的をしっかりと理解しつつ、モニタリングシートを活用しながら支援に携わるさまざまな職員との連携を深め、利用者や家族から信頼されるケアマネジャーを目指しましょう!
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2023.09.22
介護コラム
ケアマネに必須!介護におけるアセスメントのポイントやアセスメントシートについて解説ケアマネジャーの仕事のひとつであるケアプランの作成には、利用者のことをよく知り理解するとともに、利用者におけるさまざまな情報を集め、うまく関連づけることが必要です。 そこで今回は、ケアプランの作成に重要なアセスメントのポイントやアセスメントシートについてご紹介します。 介護福祉分野におけるアセスメントとは 介護福祉分野におけるアセスメントとは、利用者や家族を理解するために情報を集め、分析し、ケアプランを作成するための情報を整理していくことです。 アセスメントはケアプランの作成で重要 アセスメントの目的は、利用者や家族の情報を単に収集するだけでなく、情報収集で得た現在の利用者や家族の状況とこれまでの暮らしぶりから、自立したこれからの生活への意向と解決すべき課題を明らかにするとともに、阻害要因を分析し、その解決や達成のための手段を考えることです。 アセスメントを行うことで、利用者に最もふさわしいケアプランの作成につながります。 アセスメントとモニタリングの違い アセスメントは、ケアプランを作成するにあたり、利用者や家族の課題を明らかにすることです。 一方のモニタリングは、作成したケアプランに沿って、介護サービスが適切に提供されているかチェックすることです。 アセスメントを行ってケアプランを作成し、そのケアプランに基づきモニタリングを行うというケアマネジメントのプロセスからも、アセスメントとモニタリングの違いを理解できます。 参考ページ:介護のコミミ「アセスメントとモニタリングの違いは?流れとポイントを解説」 アセスメントする際のポイント アセスメントを行う際のポイントは、以下の四点です。 ポイント1.訪問前に多方面から情報を集める 利用者の家族や医師、地域包括支援センターなど多方面から事前に情報を収集しておくことで、的確な質問でより正確な利用者の心身の状態を観察できます。 ポイント2.利用者と「共に考える」 アセスメントでは、利用者の日常生活での困りごとや心配ごとを聴き取り、その解決方法を利用者や家族と一緒に考えることが大切です。 その際「あなたは〇〇できますか?」と一方的な質問ではなく、「これからの生活で望むこと、やってみたいことはどういうことですか?」「自分なりにできること、できそうなことは何ですか?」と意向を尋ねる質問が有効です。 ポイント3.専門職と連携する 理学療法士や作業療法士といったリハビリテーションの専門職と連携することで、利用者のADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)など、アセスメントに必要な情報をより詳細に把握できます。 ポイント4.可能な限り具体的にヒアリングする 利用者の生活状況を具体的にヒヤリングします。 ヒヤリングする際は「食事はとれていますか?」と何をしているかを聞くだけではなく、「食事は何時頃とっていますか?」「食事ではどのような動作がやりずらくなりましたか?」などと掘り下げて聞くことで、より利用者の生活状況を把握できます。 参考ページ:WAM NET「アセスメントで欠かせないポイント」 アセスメントシートについて アセスメントシートとは、利用者や家族などの情報を収集して整理するためのシートです。 利用者や家族から聴き取りしたADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)、コミュニケーション能力や介護力、居住環境や精神状況などをアセスメントシートに記入することによって、利用者や家族のおかれている状況や全体像を把握し、ケアプランにつないでいくことが目的です。 アセスメントシートを作成する際は、厚生労働省が指定する23の課題分析標準項目に沿って行うと、誰が見ても理解しやすい内容にまとめることができます。 引用:厚生労働省「介護サービス計画書の様式及び課題分析評価項目の提示について」の一部改正等について(介護保険最新情報vol.958等の再周知)」 介護支援専門員実務研修受講試験の現場実習でも行われる 2016年に介護支援専門員実務研修過程におけるカリキュラムが改正され、前期と後期の講義および演習の間に、現場実習として新たに「ケアマネジメントの基礎技術に関する実習」が追加されました。 内容は、利用者への居宅訪問を行い、アセスメントの実施やケアプランの作成、サービス担当者会議の準備や同席、モニタリングの実施や給付管理業務の方法など、一連のケアマネジメントプロセスの実習を行います。 参考ページ:厚生労働省「介護支援専門員実務研修のガイドライン」 まとめ 今回は、ケアプランの作成に重要なアセスメントのポイントやアセスメントシートについてご紹介しました。 アセスメントを行う際は、多方面から事前に情報を収集しつつ、専門職と連携をとりながら利用者の生活状況を具体的にヒヤリングし、その課題の解決方法を利用者や家族と一緒に考えていくことを心がけましょう。
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2023.09.12
介護コラム
介護福祉士実務者研修とは?資格条件や難易度、取得する方法を解説介護福祉士実務者研修とは?資格条件や難易度、取得する方法を解説 近年、介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士を取得する人が増えています。 まず介護福祉士になるためには、実務者研修を修了する必要がありますが、その実務者研修を受講するには資格が必要なのか、難しい資格なのかなど、実務者研修に対して疑問を持っている人がとても多いです。 そこで今回は、介護福祉士実務者研修について、資格の条件や難易度、取得する方法やメリットなどを交えて解説します。 実務者研修は介護福祉士国家試験を受けるのに必須条件 介護業界で唯一の介護福祉士国家試験を受けるためには、3年以上の実務経験に加えて実務者研修の受講が必須条件です。 ただし、実務者研修は介護福祉士国家試験を受けるためだけの研修ではなく、 より質の高い介護サービスを提供するために、実践的な知識と技術の習得を目的としています。 具体的には、介護職員として働く上で必要な介護課程の展開や認知症などについて学ぶことができます。 参考:三幸福祉カレッジ「介護福祉士実務者研修」 実務者研修を受ける条件は? 介護福祉士実務者研修を受けるには、特定の資格を持っている必要はありません。つまり、無資格の人でも受講は可能です。 そのため、介護福祉士国家試験のように実務経験が必要ではないため、介護の経験がない初心者の人でも取り組みやすい資格と言えます。 実務者研修は無資格でも受けられる 上述したように、介護福祉士実務者研修は介護関連の資格を保有していなくても受講が可能であるため、どなたでも資格取得を目指せます。 ただし、訪問介護員研修の1級・2級・3級、介護職員基礎研修、介護職員初任者研修などの有資格者の場合は、その保有している資格によって介護福祉士実務者研修の一部が免除されるため、受講する負担を軽減できます。 介護経験がなくても受けられる 無資格の人が受講できるのと同様に、介護未経験の人でも受講できるのが介護福祉士実務者研修の大きなメリットです。 ただし、介護未経験の人が、介護の基礎から応用までを学ぶことができる介護職員初任者研修を受講せずに介護福祉士実務者研修を受講すると、内容が理解できないケースもあります。 介護経験がない人は、いきなり介護福祉士実務者研修を受講するのか、それとも介護職員初任者研修を受講後に改めて実務者研修を受講するのか、周囲にいる有資格者のアドバイスなどを踏まえよく検討するのがおすすめです。 実務者研修の難易度 介護福祉士実務者研修のカリキュラムには介護職員初任者研修で学ぶ内容も含まれており、決められたカリキュラムを全て履修することで資格を取得できます。 そのため、初任者研修を修了した人にとっては難易度は低く、合格率はほぼ100%とも言われています。 しかし上述したように、無資格者や介護未経験の人にとっては専門用語などが理解できないケースもあるため、難しいと感じることもあるでしょう。 関連記事:実務者研修は難しい?難易度や合格率を紹介 実務者研修を受けるメリット 実務者研修を受けることで、介護福祉士国家試験を受験する資格を得ることができます。さらに、サービス提供責任者や高待遇の職場への就職のチャンスが広がります。 介護福祉士を目指せる 介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士ですが、2016年度より介護福祉士国家試験の実技試験が廃止され、その代わりに実務者研修の修了が受験要件として追加されました。 ただし、実務者研修の修了のみでは介護福祉士国家試験を受験することはできず、3年以上の実務経験が必要である点は留意しておきましょう。 サービス提供責任者で活躍できる 2019年4月より、訪問介護事業所において必須とされるサービス提供責任者になるためには、実務者研修の修了もしくは介護福祉士の資格が必要となりました。 よって介護職員初任者研修や旧ホームヘルパー2級の修了だけでは、サービス提供責任者のポジションに就くことができません。 実務者研修の修了は、介護業界でさらにキャリアアップするためには不可欠です。 高待遇で就職できる 実務者研修では、原則として医師や看護師以外には認められていなかった、たん吸引や経管栄養の基礎知識を学ぶことができます。 また、実務者研修を修了することで、介護におけるより実践的な知識と技術を習得しているという証明になります。 そのため、業務の幅が広がるだけではなく、無資格者や介護職員初任者研修の修了者と比較して高待遇で就職や転職ができるでしょう。 参考:三幸福祉カレッジ「介護福祉士実務者研修」 実務者研修を取得する方法 引用:厚生労働省「実務者研修の指定基準について」 介護福祉士実務者研修を取得するには、上記の表のように3つのパターンがありますが、多くの人が左記の実務経験ルートで資格取得を目指します。 実務経験ルートで資格取得を目指す場合、指定されたカリキュラムを受講して修了する必要があり、受講の時間は保有する資格によって異なります。 カリキュラム内容 出典:厚生労働省「届出の必要ない研修にかかる修了認定科目について」 実務者研修のカリキュラムは、基本的な介護の理論から実践的な技術までをバランスよく組み込まれています。具体的なカリキュラム例は、以下のような内容です。 社会福祉制度(介護保険等) 認知症の理解 医療の知識 障害の理解 介護技術 介護過程 たんの吸引、経管栄養 等 参考:厚生労働省「届出の必要ない研修にかかる修了認定科目について」 取得するまでの期間 実務者研修を取得するまでの期間は保有する資格によって異なり、無資格者の場合では450時間のカリキュラムを受講する必要があるため、約6カ月はかかります。 また、介護職員初任者研修の修了者の場合で320時間のカリキュラムを受講する必要があり、約2カ月はかかります。 さらに、実務者研修を修了後に介護福祉士国家試験を受験する人は、試験に申し込む際に実務者研修修了書もしくは修了見込み書を提出する必要があるため、スケジュールには注意しましょう。 実務者研修は介護職で働きながらでも受けられる 働いていない人でも実務者研修は受講できますが、介護職として働きながら実務者研修を受講することも可能です。 仕事と勉強の両立は大変な面も多くあります。 しかし、実務者研修を働きながら受講することで、介護福祉士国家試験の受験要件である3年以上の実務経験のクリアできるため、効率的に資格取得を考えている人にはおすすめです。 また、働きながら初任者研修を取得した後、実務者研修の取得を目指せば、実務者研修におけるカリキュラムが一部免除になり、さらに実務経験をクリアして実践的な技術も身に付けることにもつながります。 ただし、働きながら実務者研修を受講する際は、仕事での突発的なシフト変更なども加味して、振替制度があるスクールを選びましょう。 三幸福祉カレッジでは、仕事の都合はもちろんのこと、体調不良などで講座に参加できない場合でも、無料で授業の振替が可能ですので、働きながらでもスムーズに実務者研修を受講できます。 参考:三幸福祉カレッジ「介護福祉士実務者研修 講座の魅力・ポイント」 こちらの記事もおすすめ:介護職を目指す無資格・未経験の方必見!初任者研修のすすめ! まとめ 介護福祉士実務者研修を受けるには無資格者でも可能ですが、初任者研修を取得後に実務者研修を受講することで、カリキュラムの一部が免除されます。 また、 介護業界で唯一の国家資格である介護福祉士は、実務者研修の修了および3年以上の実務経験が必須です。 そのため、 介護職として働きながら実務者研修を目指した方が、実践的な介護技術を習得でき、かつ効率的に介護福祉士の資格も取得できます。
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