ユニットケアとは?その考え方と問題点を詳しく解説-三幸福祉カレッジ

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2022.01.24お役立ち情報
ユニットケアとは?その考え方と問題点を詳しく解説


今では、多くの施設で実践されているユニットケア。ユニット型の施設で働いている方も多くいらっしゃるかと思います。この記事では、ユニットケアの考え方と問題点について、説明したいと思います。

ユニットケアの定義

ユニットケアは、介護が必要になり、施設に入居することになっても、入居者が以前の日常生活となるべく近い環境で生活し、今までと同じようにごく普通の暮らしを送ることを目指しています。

厚生労働省は、ユニットケアを「居宅に近い居住環境の下で、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位とを一致させたケア」と定義しています。

もともとは、1994年に、ある介護施設の施設長が、数十人の高齢者が集団で食事を摂る光景に疑問を抱き、少人数の入居者とともに買い物をし、一緒に食事を作り、食べるという試みを始め、「一緒に過ごす、ごく普通の家庭の食卓にこそ意味がある」ということに気づいたことが、ユニットケアの始まりと言われています。

参考ページ:
厚生労働省「ユニットケアについて」
日本ユニットケア 推進センター「ユニットケアについて」

ユニットケアの3つの要素

ハード面をユニット型に整えるだけでは、ユニットケアが目指す「入居者が今までと同じように普通の暮らしを送ること」は実現できません。真のユニットケアを実践するためには、「ハード」「ソフト」「システム」の3つの要素からユニットケアを考える必要があります。

ハード (環境)

ユニットケアを行うためには、個室とリビング等の共用空間で構成されるハードウエアの構造が必要とされています。
共有空間を囲むように個室を配置することにより、入居者同士のコミュニケーションが生まれやすくなるという研究結果もあります。
また、入居者の個性や「普通の暮らし」建物や設備に取り入れることも大切です。
個室は、入居者のプライベートな空間となりますので、自分の家具、日常生活用品、小物を個室に持ち込み、絵や写真を飾るなどして個人的領域を作ることができます。共有空間であるリビングや、廊下、さらには窓からの景色などあらゆるハード面においても、「普通の暮らし」を感じられる環境づくりを目指します。

ソフト (暮らしのサポート)

ユニットケアでは、入居者が今までどんな暮らしをしてきたのかを知ったうえで、今までの「普通の暮らし」を継続できるようサポートします。
施設全体で一律の日課を設け、スタッフが分担して作業的にケアを実施するような集団ケアを行うのではなく、入居者がどのような暮らしを望んでいるのかを理解し、それぞれの生活リズムに合わせた個別ケアを実施することが重要です。
また、他者との人間関係の中で、社会との繋がりを感じられることも重要です。
入居者同士のコミュニケーションを支援することも介護職員の重要な役割となります。

システム (施設運営の中での仕組みづくり)

入居者が今までと同じような普通の暮らしを送ることができる真のユニットケアを実現するためには、職員一人ひとりが自立し、組織として機能していなければなりません。そのためには、施設運営の中での仕組みづくりが重要となります。人材育成、マネジメント、チームづくり、施設全体をまとめる仕組みなどを通して、一人ひとりの専門職が力を発揮できるような工夫が必要です。
ユニットケアを行うには、適切な暮らしのサポート(ソフト)とそれを生かすための環境(ハード)、さらに実践するための仕組みづくり(システム)が必要です。
これらの3つの要素が揃ってこそ、真のユニットケアが実践できると言えます。

参考ページ:
厚生労働省「ユニットケアについて」
日本ユニットケア 推進センター「ユニットケアとは」

従来型との違いについて

特別養護老人ホームは「従来型」「ユニット型」の2つのタイプに分けられます。時代とともに、ケアのあり方も変化してきたことにより、2001年以降、厚生労働省は一人ひとりに寄り添った介護ができるユニット型への移行を推奨してきました。

従来型

従来型の施設は、個室ではなく、4人程の入居者が同じ部屋で一緒に暮らす多床室が中心です。廊下に沿って複数の多床室が並び、その先に大きなリビングスペースがあることが多いです。
効率的な介護を行うため、一斉に食事を行い、一斉に歯磨きを行うなど、「集団ケア」が中心となります。

ユニット型

ユニットケアは、1ユニット10名以下の入居者で生活します。リビング等の共有空間を中心に、入居者はそれぞれの個室が用意されています。個室から出ると、リビング等の共有空間で、入居者同士交流することができます。
また、ユニットケアでは、ユニットごとに固定の介護職員が配属され、入居者一人ひとりの生活リズムに合わせた「個別ケア」を行います。

参考ページ:
厚生労働省「ユニットケアについて」

ユニットケアのメリット

入居者のプライベート空間が保たれる

ユニットケアでは、入居者一人ひとりに個室が用意されます。家族が訪問した際にも、入居者の部屋で過ごすことができます。自宅で暮らしていた頃と同じように、プライバシーが守られ、入居者にとって安心できる空間となります。

コミュニケーションが活発になる

小規模なユニットの中で生活していくため、入居者同士の距離が近くなります。また、いつも知っている人がいることから、安心感にも繋がります。そのため、従来型と比べ、コミュニケーションが活発になり、ユニットでひとつのコミュニティを形成することができます。

一人ひとりの暮らしや生活リズムに合わせた、個別ケアができる

入居者の今までの暮らしや生活リズムを把握し、その人に合わせた個別ケアを行うことができます。ユニットごとに固定の介護職員が配属されますので、入居者とより深く関わることができます。

ユニットケアの問題点

ユニットケアには、メリットが多くありますが、一方では、メリットが問題点となることもあります。ハード面は整備されているものの、ソフト面とシステムが機能しておらず、真のユニットケアが実践できていないというケースも少なくないのがユニットケアの現状です。

ユニット内での人間関係がうまくいかないときの対処が難しい。

入居者同士、入居者と職員の距離が近いことは、ユニットケアの特徴であり、よい面も多くありますが、人間関係のトラブルが起きた際の、対処が難しいという問題点もあります。入居者の個性や入居者同士の人間関係を把握し、コミュニケーションの支援を行うことが重要です。また、職員自身も、孤独を感じやすく、組織として職員のケアを行うことも大切です。

ユニットケアを行うためには、職員の力量が求められる

限られた人員で、24時間体制の個別ケアを行うためには、職員の力量が求められます。個別ケアを行うということは、効率よりも入居者のペースを優先することになりますので、一人で同時に複数のケアを実施するような場面もあります。職員一人ひとりが、自立して正しいケアを実践できなければなりません。また、忙しいが故に、ユニットケアの目的を見失ってしまうことがないように、ユニットをまとめるユニットリーダーの存在も重要です。そのためには、職員の人材育成、そしてユニットをまとめるユニットリーダーの育成が重要なポイントとなります。

ユニットケアのメリットを生かすためには、このような問題点にも目を向けていくことが大切です。

参考ページ:
厚生労働省「ユニットケアについて」

介護福祉士国家試験では「ユニットケア」はどのように出題される?

第33回(令和2年度)試験では次の通り出題されました。

問題25.
介護施設におけるプライバシーの保護として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  1. ユニット型施設は個室化が推進されているため、各居室で食事をしてもらった。
  2. 個々の利用者の生活歴の情報を、ルールに従って介護職員間で共有した。
  3. 個人情報記録のファイルを、閲覧しやすいように机の上に置いたままにした。
  4. 着衣失行があるため、トイレのドアを開けたままで排泄の介護を行った。
  5. 家庭内の出来事や会話の内容は、情報に含まれないため記録しなかった。

解答:2

引用:公益財団法人社会福祉振興・試験センターホームページ過去問題

まとめ

  • ユニットケアは、今までと同じようにごく普通の生活を送ることを目指している。
  • ユニットケアを実践するためには、3つの要素(ハード・ソフト・システム)が必要である。
  • ユニットケアは、少人数(10名以下)で1ユニットを形成し、共同生活を送る。
  • 特別養護老人ホームには、「従来型」と「ユニット型」がある。
  • ユニット型の施設では、共有空間を囲むように個室が用意されている。
  • ユニットケアのメリットを生かすためには、問題点にも目を向けることが大切。

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