外国人介護士が「日本語の勉強が難しい」と感じる理由は?-三幸福祉カレッジ

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2023.05.30お役立ち情報
外国人介護士が「日本語の勉強が難しい」と感じる理由は?

外国人介護士が「日本語の勉強が難しい」と感じる理由


現在の日本は高齢化社会が進んでいるため、介護業界における外国人介護士が増えています。
しかし、日本で働く外国人介護士の定着が課題となっており、その理由のひとつに日本語でのコミュニケーションが挙げられます。

そこで本記事では、外国人介護士が日本語を勉強する際に難しいと感じてしまう理由を、解説します。

1. 外国人が「日本語学習は難しい」と感じる5つの理由


外国人が日本語を学習する際、どんなことが難しいと思うのでしょうか。

実は、私たちが日常生活の中で何も考えずに使用している日本語は、外国人介護士にとってはとても難しい言語なのです。

理由①文字の種類が多い

日本語には、ひらがなをはじめカタカナや漢字など、学習しなければならない文字が3つあります。
世界のあらゆる言語を見ても、文字の種類が複数存在する言語は珍しいのです。

ひらがなとカタカナはそれぞれ46文字、漢字にいたっては2,136文字もあります。

日本語を学習する多くの外国人は、まずひらがなを覚えた後にカタカナを覚え、最後に漢字という順番で勉強していきます。
ひらがなを学習して「読めた」と思っていても、次々新しい文字が出てくることで「こんなに膨大な量のカタカナや漢字をどうやって覚えればいいのだろうか」と諦めの気持ちが生まれてしまうのです。

参考:参考:文化庁「常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)」 https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf

理由②漢字は音読み訓読みがあり複雑

日本語の中でも漢字は外国人にとって大きな壁です。

音読みと訓読みがあり、特に音読みは一つの漢字単独では使用しない場合が多く、ほとんどの場合で二つ以上の漢字を使用した熟語として他の漢字と一緒に学習する必要があります。
参考:参考:文化庁「常用漢字表(平成22年11月30日内閣告示)」 https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kijun/naikaku/pdf/joyokanjihyo_20101130.pdf

理由③文法が英語と全く違う

フィリピンやベトナムは英語が公用語や第二言語として使用されるため、英語が話せる外国人介護士は多いです。しかし、英語と日本語は文法が大きく違います。
英語が「主語+動詞+目的語」の語順に対し、日本語は「主語+目的語+動詞」の語順で文章が構成されています。英語は結論から先に述べますが、日本語は説明から先に述べるという点において、外国人が日本語を学習する際に戸惑ってしまう要因です。

参考:文化庁「日本語の言語意識」 https://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/sisaku/joho/joho/kakuki/20/tosin05/02.html

理由④敬語が難しい

敬語には、丁寧語や尊敬語、謙譲語などがありとても複雑です。
この違いを正しく理解して日常生活の中で使い分けることは、外国人にとっては大変苦労します。
出典:文化庁お「敬語おもしろ相談室」 https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kokugo_shisaku/keigo/index.html

また、日本語の教材で敬語を学習してマスターしたとしても、介護の現場でどのように使用したら良いのか、どのような言葉を使用すると相手に対して失礼にあたらないのかなど、実践として敬語を活用するにはハードルがとても高いのです。

理由⑤方言がある

日本語には方言があり、地域や文化によってさまざまな特徴があることも外国人を困惑させています。
さらに、上述した敬語と方言が重なり合うとより複雑です。
出典:NHK「にほんごであそぼ」https://www2.nhk.or.jp/school/watch/bangumi/?das_id=D0005150304_00000

あいさつひとつとっても日本の中でさまざまな方言があり、日本人でも自分の出身地以外の方言を理解するのは難しいのですから、外国人にとってはさらに難しさを感じるでしょう。

2.外国人介護士に必要な日本語レベル


外国人介護士として必要な日本語レベルは、日本語で日常会話ができたり簡単な読み書きができたりする程度ですが、介護の専門用語が読み書きできることが重要です。

外国人が必要な日本語レベルの指標として、日本語能力試験が参考とされます。
出典:厚生労働省「外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けハンドブック」 https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000497111.pdf

外国人介護士は、基本的な日本語を理解することができる「N4」の日本語レベルが必要になってきます。

関連記事:外国人介護士が求められる日本語レベルは?懸念点や教育時のポイントも解説 https://www.sanko-fukushi.com/news/nihongo_level_colum/

3.外国人介護士が現場で直面する日本語でのコミュニケーション

ある程度日本語を勉強しても、勉強したことを実際の業務に活かすことは難しい場合も多くあります。特に今からご紹介する3つは外国人介護士と働くうえで、ミスコミュニケーションが発生しやすいため注意しましょう。

a.介護記録の読み書き

人によって、文章を理解することはできるが、書くことが苦手だったり、そもそも漢字が読めなかったりします。
日頃の業務で介護記録は読み書き両方で不可欠なので、記入する際はひらがなを多用したり、読み方を教えてあげたりすることで、日本語の読み書きのレベルは向上します。外国人介護士が一人で介護記録を理解することができるよう、日本人職員もちょっとした配慮を心がけましょう。

b.職員間の報連相

外国人介護士であっても「報連相」は重要です。職場内で伝達するべき情報が伝わっていなかったりすると、結果的にご利用者や家族に迷惑が掛かります。
日本人職員は、外国人介護士と関わる際、できるだけわかりやすい日本語でゆっくり話しましょう。特に重要な事柄は、伝わっているかを細かく確認しながらコミュニケーションを取るといいでしょう。

c.ご利用者とのコミュニケーション

ご利用者とのコミュニケーションがうまく取ることができないと、不安や事故につながります。

ご利用者の多くは耳が聞こえづらい方も多く、声をかけずにいきなり介助を行うと、びっくりして転倒する可能性もあります。普段から、介助のやり方だけではなく、声のかけ方も教えてあげることでご利用者との関係性を築くきっかけにもなり、安全な介助を行うことにもつながります。

関連記事:外国人介護士が求められる日本語レベルは?懸念点や教育時のポイントも解説 https://www.sanko-fukushi.com/news/nihongo_level_colum/

4.外国人が日本語習得におすすめの教材

日本語を習得するには、介護現場用の日本語教材、絵本やアニメから学ぶ方法などがあります。
中でも、国際交流基金が制作している「日本語教授法シリーズ」や「いろどり生活の日本語」などは、音声や動画、資料データなどが付属しており、目だけではなく耳からでも日本語を学ぶことができるためおすすめです。

参考:国際交流基金「日本語教材・学習教材」 https://www.jpf.go.jp/j/urawa/j_rsorcs/manabu.html

参考:国際交流基金「いろどり生活の日本語」 https://www.irodori.jpf.go.jp/

5.まとめ


外国人介護士が日本語を勉強する際に難しいと感じてしまう理由を、日本語を習得する必要性なども交えて解説しました。

私たちが日常生活の中で何も考えずに使用している日本語は、文字の種類が多く、漢字の読みが複雑で文法が母国語と異なるため、外国人介護士にとってはとても難しい言語です。

しかし介護現場において、介護記録の記入や正確な情報の伝達、ご利用者とのコミュニケーションには日本語の習得が必要不可欠です。教材を上手に活用したり、日頃の仕事の中でひとつずつ教えたりしながら、外国人介護士への日本語教育を行っていきましょう。

また、ゆくゆくは介護福祉士の資格を取ってほしいと考えている方も多いはず。外国人介護士に実務者研修を受講してもらう場合もあると思います。その際は、学校などのサポート体制も確認し、学校選びをするようにしましょう。

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