認知症介護実践者研修とは?資格を取得するメリットやその他研修との違いを解説-三幸福祉カレッジ

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2022.11.14お役立ち情報
認知症介護実践者研修とは?資格を取得するメリットやその他研修との違いを解説

認知症介護実践者研修とは?資格を取得するメリットやその他研修との違いを解説

出典:内閣府「高齢者の健康・福祉」https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html

今日、日本の高齢者における「認知症」は、身近な疾患となりました。
上記の表にある、65歳以上の高齢者の認知症疾患数と有病率の将来推計によると、直近の2020年は認知症患者数が約616万人でしたが、2025年には約700万人と、わずか5年間で約100万人増加することが見込まれています。

たとえ認知症になっても一人の人間として安全で安心に、尊厳を持ってその人らしく生きていくためには、周囲の適切なサポートは欠かせません。

このような状況を踏まえて創設されたのが、認知症介護実践者研修です。

そこで今回は、認知症介護実践者研修について、資格を取得するメリットや方法などを交えて解説します。

認知症介護実践者研修とは

認知症介護実践者研修とは、認知症の人が有する能力に応じて、自立した日常生活を営むことを支援するため、実践的な知識や技術を学び、サービス形態に関わらず、支援を展開できる力を身につけることを目的とした研修です。

認知症の人への介護では、認知症のことをよく理解し、認知症の人を主体とした介護を行うことで、できる限り症状の進行を緩和させ、BPSD(行動・心理症状)を予防できるようサービスを提供することが要求されます。
また、質の高い介護を担うことができる人材を確保する必要があります。

そこで2001年度から開始されたのが、認知症介護実践者研修です。
同時に、認知症ケアの専門研修として、実践リーダーや指導者養成といった研修も開始されました。
その後、2006年度と2014年度にそれぞれ制度の見直しがあり、現在に至ります。

現状、認知症介護実践者研修以外にも、認知症ケアの専門研修として下記の研修があります。

さらに各都道府県により、認知症対応型サービス事業管理者研修や、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修、認知症対応型サービス事業開設者研修なども実施しています。

認知症介護実践者研修の資格を取得するメリット

認知症介護実践者研修の資格を取得することで大きく3つのメリットがあります。

認知症介護実践者研修を取得するメリット
・認知症への理解が深まる
・認知症に携わる介護のプロとしてステップアップできる
・就職や転職に有利

認知症への理解が深まる

認知症介護実践者研修では、認知症介護の理念をはじめ、認知症高齢者の医学的や心理的な理解、生活の捉え方や支援の方法などを学ぶことができるため、認知症への理解がより深まります。

また、自施設での実習課題もあるため、研修で学んだ知識を現場で実践し振り返りを行うことができ、知識だけではなく認知症ケアのスキルも高めることができます。

研修を通して、認知症の人に適切なケアを、自信を持って提供することにもつながるため、利用者や家族からも信頼され、やりがいを感じます。

認知症に携わる介護のプロとしてステップアップできる

認知症介護実践者研修を修了することで、介護現場において中心的な存在として周囲の職員をリードし、認知症の質を向上させるために具体的な行動ができるようになります。
そのため、認知症のプロとして幅広い介護業務に携わっていくことが可能です。

さらに、認知症介護実践リーダー研修や認知症介護指導者養成研修などの上位資格を目指してステップアップもできます。

就職や転職に有利

認知症介護実践者研修は、国で指定された研修であり、修了することで認知症に関するスキルを保有していると認知されやすくなります。

また、2021年度の介護報酬改定により、認知症専門ケア加算の対象となる施設が、居宅系サービスから訪問系サービスまで広がりました。

上記を踏まえ、今後はさらに就職や転職の際、有利に働くことでしょう。

認知症介護実践者研修の資格を取得する方法

認知症介護実践者研修の資格を取得するには、以下の2つが必要です。
1.受験資格を満たす
2.指定されたカリキュラムを受ける

認知症介護実践者研修の資格は、各都道府県や政令指定都市が実施しています。
そのため、受験資格や内容、カリキュラムなどの詳細については、各都道府県のホームページにて確認しましょう。

特に注意すべきは、認知症介護実践者研修を申し込む際、従事している施設や事業所から推薦をもらう必要があることです。

以下では、東京都と大阪府が実施している例を紹介します。

受験資格を満たす

・東京都の場合
1)東京都内の介護保険施設や事業所(居宅介護支援事業所を除く)に従事している介護職員等
2)原則として、認知症の人の介護に関する経験が2年程度以上

上記2点の受験資格を満たすことが条件です。

2)の経験年数については、事務職や施設長、生活相談員等としての経験のみの場合は、受験資格に該当しません。
また、介護福祉士と同等の知識を有する人、各施設において介護や看護のチームリーダーに類する立場(主任・副主任・ユニットリーダー等)にある人、または立場になる予定の人を想定しています。

・大阪府の場合
1)大阪府内の介護保険施設や事業所等に従事する介護職員等
2)認知症介護基礎研修を修了した人、あるいはそれと同等以上の能力を有する人
3)身体介護に関する基本的知識や技術を修得している人で、おおむね2年程度の実務経験を有する人

上記3点の受験資格を満たすことが条件です。

指定されたカリキュラムを受ける

・東京都の場合
講義・演習6日間、自施設実習約2週間

・大阪府の場合
講義・演習6日間、自施設実習4週間

なお、統一的な研修が実施できるよう、認知症介護実践研修シラバスが作成されています。
シラバスの中で公表されているカリキュラムを紹介します。

認知症ケアの知識の基本から実際の介護現場での実践について、具体的に学べるカリキュラムになっています。

参考ページ:東京都福祉保健局「東京都認知症介護医研修の概要」 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kourei/koza/ninchi/kenshu_info.html

参考ページ:大阪府「令和4年度 認知症介護実践研修(実践者研修・実践リーダー研修)」 https://www.pref.osaka.lg.jp/kaigoshien/ninnshishou-gyakutai/zissennsha28.html

参考ページ:認知症介護情報ネットワーク「認知症介護実践者研修シラバス」 https://www.dcnet.gr.jp/pdf/kensyu/sh28_jissen_syb.pdf

認知症介護実践者研修の資格を取得する難易度

認知症介護実践者研修は、試験がなく、カリキュラムを修了することで資格を取得できます。

しかし、介護保険施設や事業所に従事する介護職員等という受験資格が示すように、現役で働く人が受講できるため、仕事と研修のスケジュールを調整する必要があります。

また、指定された講義や演習を受講した上で、課題やレポートなどの提出が必須のため、仕事と並行して受講をすることは負担にはなりますが、学んだ内容を実際の仕事にも反映できるため、認知症ケアの知識やスキルを高めたい人におすすめの研修です。

まとめ

今回は、認知症介護実践者研修について、資格を取得するメリットや方法などを交えて解説しました。

認知症の人およびその家族が、質の高い生活を送ることができるよう、生活をサポートする介護従事者が、専門的な知識や技術を有し、あらゆる場面で最適なケアを提供することが求められます。

ここに文字を入れてね 認知症介護実践者研修の資格を取得することで、認知症への理解が深まるだけでなく、利用者や家族から信頼され、日々の仕事にやりがいを感じることができますので、ぜひチャレンジしてみてはいかがですか!

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