日本人と外国人の思考の違いはなぜ起こる?受け入れ制度も紹介-三幸福祉カレッジ

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2023.06.30お役立ち情報
日本人と外国人の思考の違いはなぜ起こる?受け入れ制度も紹介


介護業界においても、外国人人材の活用が積極的に行われるようになりましたが、日本人と外国人の思考の違いによるコミュニケーションエラーなども発生しているようです。
この記事では、日本人と外国人の仕事に対する思考の違いについて解説し、一緒に働く際に工夫することについて考えます。
また、外国人人材の受け入れ制度は、複数ありますが、ここでは、EPA(経済連携協定)にフォーカスし、外国人の受け入れ制度についても紹介します。

1.EPAによるフィリピン・ベトナム・インドネシアからの受け入れ制度

EPAとは、特定の国や地域同士での貿易や投資を促進するための条約のことです。
介護分野では、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国との各協定に基づき、国家資格である介護福祉士を取得することを目的とした候補者の受け入れを実施しています。

外国人候補者は、送り出し国にて、6カ月間の訪日前日本語研修を受け、日本に入国後、さらに6カ月間の日本語研修を受けます。(ベトナムは、訪日前日本語研修12ヶ月間、訪日後日本語研修2.5か月間)
その後、受入れ施設で就労しながら国家試験の合格を目指した研修に従事します。
4年目の介護福祉士国家試験で不合格だった場合は、一定の条件のもと、1年間の滞在延長ができます。
国家資格取得後は、希望者は在留資格「介護」に移行し、引き続き日本で働き続けることができます。

画像引用: EPA(経済連携協定)日本語予備教育事業 ─ 事業概要 ─

日本の国家資格を取得してほしいという3国の期待が高く、受け入れ側の日本でも受け入れ施設による候補者の支援の強化や、国家試験の申請方法の見直し、再チャレンジ支援、介護職員の配置基準の見直しなどを行っています。

介護分野での受け入れの最大人数の上限は、1年につき各国300名となっており、令和3年度の実際のEPAでの入国者数は、インドネシア263名、フィリピン226名、ベトナム166名でした。

関連記事▼(その他の受け入れ制度についてはこちらをご覧ください)
外国人介護人材の受け入れ制度について~受け入れ前に知っておくべき制度の基本~

2.日本人と外国人の思考の違いが起こる理由

外国人へ指導を行う際、日本人への指導と同じようにしても、うまくいかない・・・という場面がありませんか。
日本人は世界的に見ても真面目で働きすぎだと言われています。日本人特有の仕事観は、外国人には理解しづらいでしょう。
外国人と一緒に働くにあたり、日本人と外国人の仕事への考え方の違いについて、知っておくとよいでしょう。もちろん個人差はありますが、一般的な仕事への考え方の違いについて紹介します。

理由1.外国人はプライベートを大事にする

外国人は、効率的な働き方やプライベートな活動に重きを置く傾向があると言われています。
日本でも、ワークライフバランスが重要視されるようになり、働き方の改革が進められていますが、仕事最優先という考え方があるのが現状です。職場によっては、残業することや、有給休暇を取らないことが、献身的な働き方だという考える人もいるでしょう。
このように、仕事最優先と考える日本人に対して、外国人は、仕事よりも家族やプライベートの優先順位が高いです。
EPA受け入れ対象のベトナム・フィリピン・インドネシア等のアジア各国も家族を最優先に考える傾向があります。

理由2.外国人は専門性を重視する

日本では、終身雇用の働き方が長く続いてきた背景から、ひとつの会社に長く貢献することが良いとされる考え方が残っています。
一方、海外では、専門性を重視し、即戦力となる人材が求められます。よい条件があれば転職するという考え方が一般的だと言われています。

理由3.外国人は意見をはっきりと伝える

日本では、秩序や関係性を重要視するため、相手にとって都合の悪いことを言う場合には、直接的な表現を避け、遠まわしな表現をすることがあります。
一方、外国人は意見をはっきりと伝えます。個人の意見を主張することもあります。日本人がよく使う暗黙の了解や遠回しの表現から察するということも、外国人にとっては理解しづらいでしょう。

3.外国人を受け入れるメリット

外国人を受け入れるメリットは、どのようなものがあるのでしょうか。
受け入れ制度によっても目的が異なりますが、ここでは、全体的なメリットを紹介します。

メリット1.グローバルな視点がプラスされる

外国人と一緒に働くことにより、多様な考え方や視点に触れることができます。また、相互理解を意識することにより、職場全体のコミュニケーションが円滑になることも期待できます。
また、日本における在留外国人の数は、296万1,969人万人で、増加傾向にあります(令和4年6月時点)。今後、ご利用者にもさまざまなルーツを持った方が増えてくるでしょう。グローバルな視点は、職員間のコミュニケーションだけでなく、利用者サービスにも活かされるはずです。

メリット2.人材不足が解消される

人材不足の解消のために、積極的に外国人人材を受け入れていこうという動きもあります。
介護福祉士の資格取得後は、在留資格「介護」(いわゆる介護ビザ)に移行し、永続的に日本で働き続けることもできます。家族の帯同も可能で、在留期間も制限なしで更新可能です。
また、日本で働きたいと考える外国人は、若い人材が多く、貴重な若い人材の確保も期待できるでしょう。

4.外国人労働者と働くための工夫

外国人労働者と働くためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。先ほど説明した、仕事への違いを知った上で、工夫すべき点を紹介します。

工夫①文化や信仰等を理解して働きやすい環境を整える

文化や信仰、歴史的背景等は国によって異なるため、さまざまな配慮が必要です。
たとえば、日本人にとってはあまりなじみのない信仰ですが、フィリピン人の約90%がキリスト教で、日曜日には教会で礼拝し、毎日決められた時間にお祈りする習慣があります。ベトナム人の約80%は仏教徒です。また、インドネシア人の多くがイスラム教徒で、1日数回の礼拝があります。外国人にとっては、仕事よりも大事と考えられていることもありますので、礼拝の時間を認める等の配慮が必要となります。
外国人介護人材と一緒に働くためには、その人の文化や信仰、歴史的背景等を理解して、働きやすい環境を整えることが大切です。

工夫②業務内容をわかりやすくまとめる

具体的な業務内容を洗い出し、外国人でも理解できるようにわかりやすくまとめましょう。イラストや写真を活用するのも有効です。
また、介護はチームで働くため、情報共有の方法も含めて、仕事の進め方を具体的に伝えるようにしましょう。

工夫③介護用語を教える

介護職として働くためには、介護場面で使用する日本語も覚える必要があります。
外国人が介護用語を学習するための教材も用意されているので、うまく活用しながら、介護場面での語彙や声掛け表現などを教えましょう。その際には、写真やイラストを使うと有効です。

外国人を指導する際に、指摘が必要な場面も出てくるかと思いますが、国民性の違いにより、大勢の前で指摘されたり、怒られたりするのを嫌う人もいます。
人前で指摘するのではなく、1対1で落ち着いて説明するようにしましょう。

関連記事▼
【介護の日本語】外国人への教え方のコツをわかりやすく解説 

まとめ

日本人と外国人の思考の違いについて説明しました。
国民性の違いもありますが、性格や考え方は、一人ひとり違うため、個別に相互理解を深め、コミュニケーションをとることが重要です。
今後、ますます外国人人材が増えていくでしょう。外国人の受け入れを機会に、職場のコミュニケーションや体制を見直し、誰にとっても働きやすい職場を目指してみてはいかがでしょうか。

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