介護職は無資格で働ける?2024年4月より義務化の新たな要件とは-三幸福祉カレッジ

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2024.08.11お役立ち情報
介護職は無資格で働ける?2024年4月より義務化の新たな要件とは

介護職は無資格で働ける?2024年4月より義務化の新たな要件とは

2024年4月から介護職は無資格のままでは働けなくなりました。
猶予期間中であれば無資格でも働けますが、携われる業務が限定されるため、資格を取得する重要性がより高まっています。
そこで今回は、2024年4月に義務化された認知症介護基礎研修と、介護のファーストステップである初任者研修について紹介します。

1. 介護職は無資格で働けなくなるって本当?

令和3年度(2021年度)の介護報酬改定により、介護無資格者には認知症介護基礎研修の受講が義務付けられました。対象は介護に直接携わる職員で、医療や福祉関連の資格を保有しない人です。
認知症介護基礎研修はeラーニングに対応し、6時間程度のカリキュラムが組まれており、認知症介護に必要な知識や技能を習得します。
2021年度から2023年度までは努力義務、2024年度から完全義務化されるので、2024年度からは未受講の無資格者は介護職として働けなくなります。

①2024年3月末までは経過措置期間だった

認知症介護基礎研修は2021年3年から開始されたものの、2024年3月までの3年間は経過措置期間となっており、研修受講は努力義務とされていました。
しかし、認知症介護基礎研修の開始時期から介護職として働いていた方は、すでに研修を受講しているケースも多いです。

【東京都における認知症介護基礎研修の修了者数】
2021年度 5,947人
2022年度 7,119人

上記は、東京都における認知症介護研修の修了者数ですが、1年間の修了者だけでも5,000人を超えています。

参考:東京都福祉局「令和4年度 東京都認知症介護研修等に実施」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/torikumi/kaigi/kaigi38/pdf/38kaigi_sanko10.pdf

参考:東京都福祉局「令和3年度 東京都認知症介護研修等の実施」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi//torikumi/kaigi/kaigi36/pdf/36kaigi_sanko13.pdf

②新入職員の場合は入職後1年間の受講猶予期間がある

2024年4月以降は、無資格者が介護職へ就けなくなると考える人も多いです。
しかし、 実は認知症介護基礎研修の受講が義務化されたあとも、新規や中途の採用を問わず入職後1年間の受講猶予期間が設けられているため、無資格者でも介護の仕事を始めることは可能です。

2.無資格の介護職が携われる仕事内容

現在でも無資格者が応募可能な求人は多いため、 働きながら認知症介護基礎研修や初任者研修の修了を目指すこともできます。
しかし、現場で経験を積みながら資格取得を目指せる反面、有資格者よりも携わる仕事の幅は狭くなります。
職場によっては資格取得をサポートしてくれるケースもあるため、上手に活用しましょう。

以下では介護無資格者でも携われる仕事内容を紹介します。

①生活援助

生活援助とは、利用者に直接触れずに行う業務で、日常生活を支援するサービスです。
具体的には、食事の準備や調理、配膳や片付けをはじめ、居室やトイレの清掃、洗濯やシーツ交換、買い物などです。
また、介護施設では高齢者の話し相手や食事量のチェックなども担当します。

②身体介護(施設内のみ・有資格者の指導必須)

身体介護とは、利用者に直接触れて行う業務で、通常は介護資格が必要ですが、介護施設内では介護福祉士などの指示のもとで無資格でも身体介護を行えます。
具体的には、入浴介助や衣類の着脱、排泄の介助や体位変換、食事の介助などです。

③送迎業務

デイサービスや通所リハビリ、ショートステイなどの通所型施設の場合、利用者の自宅と施設とを送迎する業務を行います。
送迎業務は介護資格がなくても携わることはできますが、利用者が車へ乗降する際に介助が必要なため、職場によっては初任者研修の修了が求められます。

④事務作業

介護施設内でのさまざまな事務作業を行います。
具体的には、介護施設内における受付や電話対応、備品の発注や管理、経理事務や医療事務、給料計算や郵送物の発送などです。
介護無資格者であっても、オフィスソフトの操作が得意でパソコン業務に抵抗のない人は向いているでしょう。

3.2024年4月より受講が義務化された「認知症介護基礎研修」とは

認知症介護基礎研修とは、認知症への理解を深め、必要な基礎知識と技術を習得することが目的です。
研修では認知症の症状理解や対応の基礎、ケア技術などを学び、チームケアの実践を目指します。
以下は認知症介護基礎研修の主なカリキュラムです。
・認知症の人を取り巻く現状
・具体的なケアを提供する時の判断基準となる考え方
・認知症の人を理解するために必要な基礎的知識
・認知症ケアの基礎的技術に関する知識と実践上の留意点
認知症介護基礎研修は、時間数150分程度ですので、半日から1日で修了を目指せます。

参考:厚生労働省「認知症介護基礎研修標準カリキュラム」https://www.mhlw.go.jp/content/001227778.pdf

出典:社会福祉法人東北福祉会 認知症介護研究・研修 仙台センター「認知症介護基礎研修とは」 https://kiso-elearning.jp/what-kiso/

①認知症介護基礎研修を受講するメリット

認知症介護基礎研修を受講することで、認知症の症状への理解やケア技術の基礎を学べ、介護現場で必要な知識を習得できます。これにより、認知症の人やその家族へ適切な対応が行えるとともに、コミュニケーションがスムーズにできるようになります。
また、上位資格である認知症介護実践者研修や認知症介護実践リーダー研修の受講資格を得られます。これにより、さらに認知症への深い知識と技術を学び、現場での経験を積むことで昇給や昇格、転職にも有利となり、キャリアアップの機会が広がります。
認知症介護基礎研修は、自治体や委託団体が実施しており、日時や場所は異なります。eラーニングを活用する自治体では、インターネット環境があれば自宅で受講が可能です。また、集合型研修は年数回開催されますが、定員があるため早めの確認と手続きが必要です。

②受講の対象者

認知症介護基礎研修の受講対象者は、すべての介護サービス事業所で直接介護に従事する無資格者で、 無資格で新たに入職した場合、入職後1年以内に認知症介護基礎研修の受講が必要です。
また、認知症サポーターや認知症ケア指導管理士などの民間資格を持っていても免除はされないほか、居宅介護支援や福祉用具貸与に関わる職員は対象外です。

③受講が免除されるケース

認知症ケアに関する基礎的な知識および技術を習得している以下に掲げる人は、認知症介護基礎研修の受講が免除されます。
・医師、歯科医師、薬剤師
・看護師、准看護師
・介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修一級課程・二級課程修了者
・理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師
・管理栄養士、栄養士
・社会福祉士、精神保健福祉士等
・養成施設の卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できる場合
・卒業証明書により卒業が証明できる福祉系高校の卒業者
・認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した人
・人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない人

出典:厚生労働省「介護保険法施行規則第140条の63の6第1号に規定する厚生労働大臣が定める基準について」https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000947633.pdf

④受講方法

認知症介護基礎研修の受講方法は、eラーニングシステム専用サイトから申し込みが可能です。
まず、事業所の責任者は事業所の登録を行います。介護保険事業所番号や自治体名などを登録し、事業所コードが発行されます。受講者はメールアドレスを登録した後、必要情報を入力して受講IDを取得し、受講料を支払うと申し込みが完了します。
受講はインターネットを通じてパソコンやスマートフォンから行え、途中でログインし直せば前回の続きから再開できます。
内容は動画と確認テストで構成され、試聴時間は約150分ですが分割視聴も可能です。

⑤受講費用

都道府県や研修の主催元(自治体が主催しているのか・委託された民間団体が主催しているのか)によって受講費用は異なります。
一般的には、テキスト代や受講費を含めて3,000~5,000円程度のケースが多いです。
すでに介護職として働いている場合は、資格取得サポートの一環として勤務先が受講費用を負担してくれる場合もあるので、事前に確認しましょう。

4.初任者研修と認知症介護基礎研修の違い

2024年4月以降、無資格の介護職は1年以内に働けなくなるため、何かしらの介護系資格を取得する必要があります。
介護の入門資格として初任者研修があり、無資格の人が受講する認知症介護基礎研修と比較されることも多く、どちらを取得するべきか迷います。
ここでは初任者研修と認知症介護基礎研修の違いについて解説します。

①初任者研修とは?

初任者研修は、 認知症の基本知識だけではなく、介護職として働くための基礎知識や技術を身につけることができます。
初任者研修の資格を取得することで、訪問介護事業所でも働けるようになり、認知症介護基礎研修が免除されます。
受講費用は5万円〜10万円程度で、最短1ヶ月で取得可能です。
無資格者に比べて給与が高くなり、求人数も多いのが特徴です。

参考:三幸福祉カレッジ初任者研修とは https://www.sanko-fukushi.com/course/shoninsha/

②初任者研修と認知症介護基礎研修との違いは?

初任者研修と認知症介護基礎研修との違いは、その目的と受講項目です。
初任者研修は介護全体の基礎知識や技術を学ぶ目的の研修で、介護の基本的な考え方や技術、法律やコミュニケーションスキルを習得します。
一方の認知症介護基礎研修は、認知症の人をサポートするための基礎知識や技術を学び、認知症の特徴や対応方法を理解することが目的です。
また、初任者研修が130時間のスクーリング受講に対し、認知症介護基礎研修は約150分のeラーニングの受講で取得を目指します。

③初任者研修と認知症介護基礎研修はどちらを取得するべきか?

介護職で長く働きたい人には初任者研修がおすすめです。130時間のスクーリング受講で介護全般の知識と技術を習得でき、実務者研修の一部科目が免除されるため、キャリアアップにも役立ちます。
一方、短期間かつ低コストで知識や技術を身につけたい人には認知症介護基礎研修がおすすめです。受講時間が短く費用も初任者研修より安いため気軽に受講でき、認知症の人への対応方法を学び、自信を持って介護業務に取り組めます。

5.介護職の資格に関するよくある質問(Q&A)

Q:介護職にはどのような資格があるの?
A:介護職の資格には、介護の入門資格である初任者研修、その上位資格として実務者研修、さらに介護職唯一の国家資格である介護福祉士などがあります。その他にも、訪問介護員として生活援助サービスが行えるようになる生活援助従事者研修もあります。

Q:介護職で長く働きたいので初任者研修を受講したいが、勉強についていけるか不安
A:初任者研修は、受講生の9割以上が未経験から資格を取得しており、男女とも10代から70代までの幅広い年齢層の人が受講しているので安心して参加できます。

6.まとめ

今回は、2024年4月に義務化された認知症介護基礎研修について、今後介護無資格者が求人に応募する際に受講しておきたい初任者研修を交えて解説しました。
認知症介護基礎研修は2021年3月に始まり、2024年3月までの3年間は受講が努力義務でした。2024年以降も新規や中途の採用者は入職後1年間の受講猶予期間があります。

介護職で長く働きたい人は、130時間のスクーリングで介護全般を学べる初任者研修が向いていますが、短期間かつ低コストで学びたい人には認知症介護基礎研修が向いていると言えるでしょう。

この記事の監修者

三幸福祉カレッジ 編集部

実務者研修・初任者研修を全国で開講している三幸福祉カレッジです。介護の仕事や資格について皆さんが疑問に思っていることや気になること、話題の情報を更新しています。

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