お知らせ

2021.11.22お役立ち情報
「ユマニチュード」とは?介護職なら知りたい認知症ケア

認知症ケアにも有効!フランス生まれの「ユマニチュード」

ユマニチュードはフランスのイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティによりつくりだされた「知覚・感情・言語」による包括的コミュニケーションにもとづいたケアの技法です。

「人とは何か」を問う哲学と、それにもとづく実践技術から成り立つものです。

ケアを行う人が、ケアを必要とする方に対して「あなたは私にとって大切な存在です」というメッセージを発信し続け、人間らしさを尊重し続ける状態がユマニチュードの状態であると定義づけられています。

ケアを必要とするすべての人に対して活用できる汎用性の高い技法ですが、認知症ケアにも効果が高いと注目を集めています。

ユマニチュードのメリットとは

ユマニチュードでは、ケアを提供する人とケアを受ける人が良い関係を築くことを重要視しています。

ユマニチュードにもとづくケアを実践することにより、認知症の方の攻撃的な行動や発言が減ったという報告や、ご利用者の表情が穏やかになったという報告が多数あります。

ケアをする側、ケアを受ける側に双方にとって良いことですよね。

「まるで魔法のよう」と表現されることもあるようですが、ユマニチュードは具体的な技法ですので、その技法を学ぶことにより、誰でも実践できることも魅力のひとつといえるでしょう。

ユマニチュードの4つの柱

4つの柱は、「見る」「話す」「触れる」「立つ」ことの援助を通して、“わたしはあなたを大切に思っていること”を相手にわかるように伝え、ケアを受ける人に“人間としての尊厳”を取り戻してもらうための技術です。

(1)「見る」技術

  • 水平に目を合わせる(「平等」を示す)
  • 正面から見る(「正直・信頼」を示す
  • 顔を近づける(「優しさ・親密さ」を示す)
  • 見つめる時間を長くとる(「友情・愛情」を示す)

ケアを受ける人が攻撃的になっている場合、本能的に視線をそらしてしまいますが、「相手を見ない」ことは「あなたは存在しない」というメッセージを発することになってしまいます。「あなたはここにいますよ」というメッセージを届けるためには、職業人として「見る」ことを意識する必要があります。

(2)「話す」技術

  • 低めのトーンで話す
  • 優しい口調で話す
  • 常に話しかけ続ける
  • 前向きな言葉を用いる

ケアを受ける人からの適切な反応がないと、話しかけなくなってしまうのは自然なことですが、見ることと同様、話しかけないことは「あなたは存在しない」というメッセージを発することになります。
「あなたはここにいる」ことを伝えるためには、反応のない人にも話しかけ続け、「絆」を結ぶ必要があります。

そこで有効なのが「オートフィードバック」という技法です。
自分たちがいま実施しているケアの内容の実況中継を行います。その際に、「すっきりしますね」「あったかくなりましたね。気持ちいいですね。」等のポジティブな言葉も添えます。

(3)「触れる」技術

  • 広い面積で触れる(指先ではなく、手のひら全体で触れる)
  • ゆっくりと触れる
  • なるべく鈍感な部分(上腕や背中)などの部位から触れる

一方、「つかむこと」により、ケアを受ける人は「どこかに連行される」というとてもネガティブなメッセージを受け取ってしまいます。相手をつかまないように日頃から意識することが必要です。

(4)「立つ」技術

「立つ」ことは、人間としての尊厳を保つために重要な意味をもち、さらに多様な組織・器官に対して生理的によい影響を及ぼします。
1日20分程度立位を含めた時間を確保できれば、寝たきりになることを防げるとされています。リハビリテーションとしての時間を確保する必要はなく、着替え、清拭などの日常のケアの中で立位を含んだケアを実践することにより可能となります。
日常的な生活行動にいかに立位を組み込めるかを考えることが必要です。

ユマニチュードの5つのステップ

ユマニチュードでは、ケアを始める前から終わったあとまでを5段階に分けて、それぞれのステップで行うことを具体的に定めています。

(Step1)出会いの準備

自分が来たことを知らせ、相手の反応を待つことを繰り返し、ケアをする人の存在に気付いてもらいます。

  1. 3回ノックする
  2. 3秒待つ
  3. 反応がなければもう一度①②を繰り返す
  4. それでも反応がなければ1回ノックしてから「失礼します」と声をかけて部屋に入る

(Step2)ケアの準備

これから行うケアについての合意をとります。

  • 正面から近づき、相手の視線をとらえる
  • 目が合ったら2秒以内に話しかける
  • 最初からケアの話はしない
  • 体のプライベートな部分(顔)にいきなり触れない
  • ユマニチュードの見る触れる話すの技術を使う

3秒以内に合意がとれなければ、ケアは一旦あきらめ、あとにします。

(Step3)知覚の連結

4つの柱の技法を用いてケアを実践します。

常に「見る」「話す」「触れる」のうちの2つ以上を行い、「あなたは私にとって大切な存在です」という気持ちが伝わるようにケアを行います。また、複数の知覚情報を矛盾させないように注意します。

(Step4)感情の固定

良い時間を過ごせたことを振り返ります。

  • ケアの内容を前向きに確認する。
  • 相手を前向きに評価する。
  • 一緒に過ごした時間を前向きに評価する。

「あなたと過ごせてうれしかった」などとポジティブな言葉をかけて、ケアを素敵な経験として記憶に残します。認知機能が低下している人の場合には、やや大げさに表現すると効果的であるとされています。

(Step5)再開の約束

「また一緒に楽しい時間を過ごしましょう」等のポジティブな声かけを行い、また来ることを伝えます。
約束した内容を覚えていなくても、心地よかった記憶が残っていれば、次のケアの時に好意的に受け入れてもらえます。

コロナ禍でユマニチュードをどう行う?

基本的な感染対策を行ったうえで、ユマニチュードを実践しましょう。
ユマニチュードの導入の有無に関わらず、ケアを行う際には、万全な感染対策をされていることかと思います。
コロナ禍においては、マスクを着用しているため、表情を読みとりずらく、通常時と比べて感情が伝わりにくい場面が多くなります。
ユマニチュードでは、相手に「あなたのことを大切に思っている」ことを相手に伝えることが重要ですので、表情が読み取りづらい分、感情をより表現することは必要になるでしょう。

(参考)
日本ユマニチュード学会「新型コロナウィルス状況下でどのように『ケアの5つのステップ』を実践するか」

まとめ

  • ケアを提供する人とケアを受ける人が良い関係を築くことが重要
  • 「あなたは私にとって大切な存在です」と相手にわかるように伝える
  • 4つの柱は、2個以上を掛け合わして実践する
  • 5つのステップの中で、心地よかった記憶を残す

今、ご利用者からケアを拒絶されたり、ご利用者との関係がうまくいかず悩んでいる方がいらっしゃれば、一度ユマニチュードの技術を実践してみてはいかがでしょうか。ケアを提供する人にとっても、ケアを受ける人にとっても、心地の良い時間が過ごせるとよいですね。

 

「ユマニチュード」は介護福祉士国家試験にも出題されています。
第32回介護福祉士国家試験 問4では、以下の問題が出題されており、正解となる1、は「ユマニチュード」の基本技術です。

高齢者とのコミュニケーションにおける配慮として、最も適切なものを1つ選びなさい。
 1、相手と視線が合わせられる位置で話す。
 2、相手には座ってもらい、自分は立ったまま話す。
 3、初対面のときから相手と密着した距離で話す。
 4、相手の表情があまり見えない薄暗い場所で話す。
 5、たくさんの人がいる、にぎやかな場所で話す。
 (第32回介護福祉士国家試験 問4)

三幸福祉カレッジでは、介護福祉士国家試験を受験される皆様をサポートする講座・セミナーをご用意しております。

▼【無料】介護福祉士受験対策講座オンラインセミナーはこちら
https://www.sanko-fukushi.com/news/20210708/

▼【無料】介護福祉士受験対策講座セミナー動画はこちら
https://www.sanko-fukushi.com/course/kaigofukushishi/douga/

▼介護福祉士受験対策講座各コースの詳細はこちら
https://www.sanko-fukushi.com/course/kaigofukushishi/

 

≪参考文献≫
医学書院『ユマニチュード入門』(著者:本田 美和子/イヴ・ジネスト/ロゼット・マレスコッティ)

△介護の資格取得なら介護職員初任者研修の三幸福祉カレッジトップへ