インフォーマルサービスとは?その必要性と効果についてご紹介-三幸福祉カレッジ

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2021.12.28お役立ち情報
インフォーマルサービスとは?その必要性と効果についてご紹介


(引用)
引用:厚生労働省「介護の将来像(地域包括支援システム)」

2025年(令和7年)、団塊の世代が75歳以上になる日本は、要介護リスクが高くなる後期高齢者の人口とともに単身世帯や高齢者のみの世帯も増加し続けるため、在宅生活を支えるニーズはさらに高まっていくことが予想されます。

一方で在宅介護のニーズが増す中、15歳から64歳までの生産年齢人口は減少し続けるため、需要に対する専門職の確保はますます困難になっていきます。

今後さらに人口減少と需要増加のギャップが拡大する中で注目されているのが「インフォーマルサービス」です。高齢者が住み慣れた地域で生活を継続するためにはインフォーマルサービスの充実が重要な鍵となります。

そこで今回は、インフォーマルサービスの必要性と効果について事例を交えながらご紹介します。

インフォーマルサービスとは

インフォーマルサービスとは、家族をはじめ近隣や地域社会、NPOやボランティアなどが行う援助活動で、公的なサービス以外のものを指します。サービスの質や提供される量が公的なサービスに比べ一定していませんが、顔見知りの方々による援助や公的なサービスにはない細やかなニーズに対応できます。

インフォーマルサービスの対としてフォーマルサービスがありますが、フォーマルサービスは、国や地方自治体が直接または間接に費用を負担する公的なサービス、いわば介護保険制度内のものです。要支援や要介護の介護度によって生活上の問題を解消することを目的としているため、介護度によって必要以上のサービスを利用できないようになっています。

インフォーマルサービスの種類

インフォーマルサービスには、市区町村や民間企業、地域や友人、家族などが提供するものまで多岐にわたり、提供する主体によって利用の方法や費用が異なります。

介護認定を受けている高齢者はもちろん、介護認定を受けていない高齢者も利用できる点が特徴です。

インフォーマルサービスを種類別にご紹介します。

身体的ケア

・介護サービス事業所による入院中をはじめ病院や介護施設からの一時帰宅の際の介助

・民間企業による全額自己負担での食事や入浴、排泄などの介護サービス

精神的ケア

・民生委員による声かけや傾聴ボランティアによる話し相手

・地域で開催されているサロンへの参加

見守り

・遠くにいる家族に代わって、ひとり暮らしの高齢者の元への訪問

・電話やセンサーなどでの見守り、カメラを設置して24時間オンラインでの見守り

相談

 ・さまざまな機関が提供する電話相談や市民相談

 ・家族会や患者会、当事者団体によるピアサポート

インフォーマルサービスの事例紹介

インフォーマルサービスの導入事例をご紹介します。全国各地で導入されているインフォーマルサービスには多種多様なものがあります。

【事例①】訪問介護 

<NPO法人グレースケア機構>

東京都三鷹市にあるNPO法人グレースケア機構は、娯楽ケアをはじめ家族ケアや認知症ケア、医療的ケアなどのサービスを、24時間365日必要な時に必要なだけ自由に柔軟に提供しています。

またヘルパーの指名制度を導入。ヘルパーの経歴や得意分野などをホームページで紹介することで、利用者の満足度とともにヘルパーの個別性が活かされモチベーションの向上にもつながっています。

介助は当事者の自己決定に基づいて人の暮らしをトータルに支えるものとの原点から、介護保険内や介護保険外という括りでニーズを切り分けず、まず生活をみて、必要に応じて制度を組み合わせています。

【事例②】在宅介護

<株式会社ホスピタリティ・ワン>

株式会社ホスピタリティ・ワンは、一時帰宅や在宅での看取りなどを保険外の訪問看護の専属看護師がサポートしています。

また医師の指示の下、看護師やケアマネジャーなどと連携して、病院や施設への付き添いをはじめ長時間の見守りや認知症のお世話、食事やトイレ、入浴の介助、買い物の同行やリハビリのお手伝いなど、介護の依頼にも対応しています。

【事例③】施設サービス

<株式会社コナミスポーツクラブ>

株式会社コナミスポーツクラブは、地域支援事業などでの高齢者向けの運動プログラムでの知見を活かし、高齢者の運動能力維持と向上を目指しており、同じ時間、同じメンバー、同じインストラクターで手軽に参加できる運動プログラムを提供しています。

また介護施設のスタッフに研修を行い、合格者がコナミスポーツクラブのプログラムを指導する介護施設向けのライセンス事業「Oyzライト」を展開しており、介護予防にスポーツという視点からアプローチしています。

(参考)
参考:厚生労働省「地域包括ケアシステム構築に向けた公的保険外サービスの参考事例集」

フォーマルサービスとの連携が重要

誰もが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、介護保険内のフォーマルサービスでは対応できない部分をカバーするものとして、介護保険外のインフォーマルサービスの必要性はより一層高まっています。

インフォーマルサービスを最大限活かすためには、市区町村はもちろん、介護事業所をはじめ地域団体や企業、NPOやボランティア、町内会や住民など、さまざまな立場の方たちがフォーマルとインフォーマルに参画、連携し合うことが重要です。

 介護福祉士試験に「インフォーマルサービス」はどのように出題される?

実際に第31回介護福祉士国家試験でも出題されました。

問題6 「地域共生社会」が目指すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 1 育児・介護のダブルケアへの対応
  • 2 すべての住民が支え合い、自分らしく活躍できる地域コミュニティの創出
  • 3 高齢者分野の相談支援体制の強化
  • 4 公的サービスに重点を置いた地域福祉の充実
  • 5 専門職主体の地域包括支援体制の構築

引用:社会福祉振興試験センターホームページ「介護福祉士国家試験 過去問題

 答えは2。

まとめ

インフォーマルサービスの必要性と効果について事例を交えながらご紹介しました。

フォーマルサービスとインフォーマルサービスを上手に組み合わせることで、高齢者はより充実した介護サービスを受けることができ、さらに家族の介護負担の軽減にもつながります。

ケアマネジャーや社会福祉士などの専門職は、民間事業者が行うサービスにはどのようなものがあるのかを事前に調べ、情報を知っておくことも大切です。

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