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- 2022.08.25お役立ち情報
- ノーマライゼーションとは?理念や歴史について解説
人はいくつになっても人の役に立ちたい、社会の中で役割をもって生きていきたいと願うものです。
それが高齢者になったから、介護が必要になったから、障がいがあるからといって、「自分たちはもう役に立たない」と感じさせるようなことがあるとすれば、とても悲しく寂しいことです。
だれもが幸せに暮らせる社会をつくるためには、ノーマライゼーションという考え方がとても重要です。
そこで今回はノーマライゼーションとは何かについて、理念や歴史を交えて解説します。
ノーマライゼーションとは
ノーマライゼーションは、高齢者や障がい者などを排除するのではなく、健常者と同等に当たり前に生活できるような社会こそが、正常(ノーマル)な社会であるという考え方です。
そして、こうした正常(ノーマル)な社会を実現する取り組みをノーマライゼーションといいます。
厚生労働省の理念
厚生労働省は、障がいのある人もない人も、互いに支え合い、地域で活き活きと明るく豊かに暮らしていける社会を目指すことをノーマライゼーションの理念と位置づけ、障がい者の自立と社会参加の促進を図っています。
主な取り組みとしては、障がい者の自己決定を尊重し、障がい者福祉サービス事業者との対等な関係を確立するため、行政が福祉施設やホームヘルパーなどのサービスを決定する従来の仕組みを改め、利用者自らがサービスを選択し、事業者と直接契約する新しい利用制度への移行を進めています。
また社会参加の推進として、情報伝達(コミュニケーション)手段の確保のために、障がい者への情報提供の充実や、手話および点訳に従事する奉仕員の養成や派遣を行うほか、在宅の障がい者やその家族に対して、福祉サービスを利用するための援助や社会生活力を高めるための支援を行っています。
さらに、全国障がい者スポーツ大会の開催などにも取り組んでいます。
参考:厚生労働省障害保健福祉部 障がい者の自立と社会参加を目指して
バリアフリーとの違い
ノーマライゼーションと似た言葉にバリアフリーがあります。
バリアフリーとは、障がいのある人が社会生活をしていく上で、障壁(バリア)となるものを除去することです。
例えば、エレベーターでは車椅子を使用している人が利用しやすいよう、ボタンの位置を低くする、方向を変えずに出入り口を確認できるよう鏡をつけるなどの工夫がされています。
また、電車の駅ではホームの端にドアを設置して、線路への転落を防ぐ工夫がされていて、歩道では視覚に障がいのある人に道を案内するために、点状ブロックや線状ブロックが設置されています。
上記を踏まえ、ノーマライゼーションは、高齢者や障がい者などが健常者と同等に当たり前に生活できる社会こそが正常であるとの考え方であり、その考え方を基にして障壁となるものを除去することがバリアフリーです。
参考:政府広報オンライン 知っていますか?街の中のバリアフリーと「心のバリアフリー」
ノーマライゼーションの事例
ノーマライゼーションの考え方をいち早く進めてきたスウェーデンでは、地下鉄の駅を中心に、介護付きの住宅をはじめ商店や警察、職業安定所や社会保険事務所、映画館や図書館など、その町に暮らす人々から必要な施設を聞いたうえで、セントルームと呼ばれる新しい町を造っています。
またセントルームには、車が入れないようになっているとともに、車椅子や杖を利用している人が安心して移動できるよう、道路には段差がほとんどありません。
その他にも、都市部を走る地下鉄の駅には、安全に移動できるようエスカレーターやエレベーターを設置したり、高齢者の住まいには、いざという時に地域のホームヘルパーなどに連絡ができるようインターホンを設置したりなど、ノーマライゼーションを実現した社会が形成されています。
参考文献:一番ヶ瀬康子「ノーマライゼーション だれもが生きがいを感じられる社会に」くもん出版,2001,p.7
ノーマライゼーションの歴史
ノーマライゼーションの考え方はデンマークで生まれました。デンマークの社会省で知的障がい福祉課に勤務するエルス・エリク・バンク-ミケルセン氏が、知的障がい児が 非人間的な扱いを受けていた実態に心を痛め、世界にノーマライゼーションの思想を広げました。
1951年に知的障がい児親の会が結成され、その中で掲げられた3つのスローガンにミケルセン氏が共鳴します。
- 入所者を20人から30人の小規模な施設に改めること
- その小規模施設を親や親戚が生活する地域に作ること
- 他の子どもと同じように教育の機会を持たせること
そしてミケルセン氏は、このスローガンが法律として実現するよう文章化に取り組み、1953年には親の会の要望は知的障がい者福祉政策委員会の設置を実現することで結実します。
1958年には「知的障がいがあってもその人は一人の人格を持っているのであり、ノーマルな人と同じように生活する権利を持つ」という理念を盛り込んだ報告書がまとめられ、それが1959年「知的障がい者福祉法」として成立。この法律でノーマライゼーションという言葉が世界で最初に用いられました。
その後、ノーマライゼーションの考え方はヨーロッパや北アメリカの国々へ広まります。そして1980年代以降には日本でも、障がい者や高齢者などの社会福祉においてノーマライゼーションの考え方が中心となっていきました。
参考:組織づくりベース ノーマライゼーションとは?その理念・手法や注意点について解説
まとめ
今回は、ノーマライゼーションとは何かについて、理念や歴史を交えて解説しました。
人間社会には、赤ちゃんをはじめ高齢者や障がい者など、さまざまな支援が必要な人がいます。ノーマライゼーションの考え方は、地域の中にさまざまな人がいるのが、人間社会として正常(ノーマル)な姿だということです。
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