【2024年最新版】介護士の給料は上がる?収入アップに向けた方法も-三幸福祉カレッジ

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2024.09.03お役立ち情報
【2024年最新版】介護士の給料は上がる?収入アップに向けた方法も

【2024年最新版】介護士の給料は上がる?収入アップに向けた方法も


2024年度から施行された新たな「介護職員等処遇改善加算」により、介護士の給料がさらに上がることが期待されています。
これまでの国の賃上げ施策で介護士全体の収入は着実に上昇しており、今回の介護職員等処遇改善加算にも大きな関心が寄せられています。
そこで今回は、2024年に介護士の給料はどの程度上がるのかについて、賃上げの施策だけに頼らず、資格取得やキャリアアップなどで収入をさらにアップさせる方法を交えて解説します。

1.2024年以降に介護士(介護職員)の給料は上がる見込み

介護業界は人材不足が続いており、介護職員の定着を図ることを目的として、定期的に施策の見直しや改善が続いています。
2023年度の介護業界の賃上げ率は1.42%で、春闘の平均賃上げ率が3.69%だったのに対し大きく下回っています。これを打破するために介護報酬改定が前倒しで行われました。
2024年6月以降も賃上げが見込まれており、2024年度中に2.5%、2025年度中には2.0%のベースアップへ確実につながるよう加算率の引き上げが進められる予定です。
賃金の仕組みの一元化も検討され、今後さらなる改善が期待されます。

参考:厚生労働省「処遇改善加算の制度化が一本化(福祉・介護職員等処遇改善加算)され、加算率が引き上がります」https://www.mhlw.go.jp/content/001223662.pdf
全国老人保健施設協会「介護現場における物価高騰および賃上げの状況」
https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/04/20230428_yobosyo_betten-1.pdf

2024年2月からの「6,000円の賃上げ施策」はすでに終了

政府は、2024年2月から介護報酬の賃上げ政策を実施し、職員一人あたり月額6,000円の賃上げが決定されました。
この賃上げは、一般的な介護施設の職員だけでなく、訪問介護や看護助手、障がい福祉系の職員も対象となり、パート職員にも労働時間に応じて支給されます。
6,000円の賃上げ施策は、2024年6月からの介護職員等処遇改善加算が実施されるまで(2024年2月から5月までが賃上げの対象期間)の施策であり、介護職員等処遇改善加算がスタートした2024年8月現在ではすでに終了しています。

2.「介護職員等処遇改善加算」の詳細を徹底解説!

2024年6月から「介護職員等処遇改善加算」という仕組みが始まり、2024年度と2025年度に介護士の給料が上がることは知られていますが、具体的にどういう賃上げなのか、どの職種が対象となるのか、加算率がどのくらいなのかを詳しく理解している人は少ないです。
そこで、こちらでは「介護職員等処遇改善加算」について詳しく説明します。

<過去に実施された介護士の処遇改善制度3つ>

2024年から始まった「介護職員等処遇改善加算」という新しい制度は、これまでにあった処遇改善に関する制度を一つにまとめたものです。
過去に実施された処遇改善制度は以下の3つです。

制度①介護職員処遇改善加算(2012年創設)

介護職員処遇改善加算は2009年に導入され、2011年まで実施されていた「介護職員処遇改善交付金」を受け継ぎ、2012年から運用が始まりました。
介護職員の賃金や職場環境を改善するために、要件を満たす事業所に介護報酬が上乗せされ、対象となる事業所は賃金体系や研修制度などを整備している必要があります。
加算の種類はⅠ〜Ⅴまであり、加算率は事業所のサービス区分と要件に基づき決まり、要件にはキャリアパス要件(昇進・昇給の仕組み、研修の実施)や職場環境改善などがあります。

参考:厚生労働省「介護職員処遇改善加算」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000199136.pdf

制度②介護職員等特定処遇改善加算(2019年創設)

介護職員等特定処遇改善加算は、経験やスキルのある介護職員の給料を上げるために、2019年から始まった制度で、長期間働くことでスキルを身につけた介護職員の処遇を改善し離職を防ぐことが目的です。
2020年の調査では、処遇改善加算を持つ事業所の63.3%がこの加算を取得しています。
介護職員等特定処遇改善加算は「経験・技能のある介護職員」や「他の介護職員」などが対象で、特定加算を取得するには介護職員処遇改善加算を持ち、職場環境改善などの要件を満たす必要があります。
加算の配分ルールも設定されており、経験豊富な職員には重点的に配分されます。

参考:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf

制度③介護職員等ベースアップ等支援加算(2022年創設)

介護職員等ベースアップ等支援加算は、2022年10月の介護報酬改定で導入され、基本給の引き上げと介護職員の処遇改善を目的としており、2022年2月から9月までの賃上げ効果を継続するために、既存の処遇改善加算や特定処遇改善加算に追加されました。
従来の加算が賞与でも支給可能であったことに対し、ベースアップ等支援加算は毎月の給料で還元することが重視され、対象事業所の介護職員1人あたり月額平均9,000円の賃上げが見込まれていたものです。

参考:厚生労働省「令和4年度介護報酬改定について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000903044.pdf

<一本化された介護職員等処遇改善加算の概要>

過去に実施した 3つの処遇改善制度を一本化する形で2024年に創設された新たな「介護職員等処遇改善加算」 は、介護職員の賃金向上や職場環境改善を目指しており、人材不足解消のために設けられました。
新たな介護職員等処遇改善加算は事務負担の軽減が期待され、2024年6月から施行していますが、4・5月は旧加算が適用されます。
特定サービスは引き続き対象外で、新加算に移行できない事業所には2024年3月まで新加算Ⅴが設けられ、既存の加算状況に基づいた経過措置が取られていました。

出典:厚生労働省「現行制度から一本化後の介護職員等処遇改善加算への移行」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001219322.pdf

①賃上げの対象となる介護士

新たな介護職員等処遇改善加算における 賃上げの対象は介護職員のみ で、ケアマネジャーや事務職は含まれていません。
しかし、 職種ごとの配分ルールが廃止され、現在では「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある介護職員に重点的に配分しつつ、事業所内での柔軟な配分を認める」となっています。
このため、介護職員以外(看護師・ケアマネジャー・事務職など)への配分も可能です。
ただし、職務内容や勤務実態に合わない偏った配分は避けるべきで、人手不足対策を目的とした柔軟な対応が求められています。

参考:厚生労働省「処遇改善加算の一本化及び加算率の引き上げ(令和6年6月〜)」 https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001219322.pdf

②サービス区分ごとの加算率

新たな介護職員等処遇改善加算における代表的な介護サービスそれぞれの加算率は以下の通りです。
上記の加算率を基にした1カ月あたりの処遇改善加算取得額は、以下の①〜③をかけて求めることができます。
①:1カ月の総単位数(基本報酬に加算減算を加味したもの)を出す
※処遇改善加算分の単位数は除きます
②:①に上記表の処遇改善加算の加算率をかける
③:②に地域区分単価をかける

出典:厚生労働省:「処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)」https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001219322.pdf

 

3.介護士の給料推移|処遇改善によって給料は本当に上がる?


介護士の処遇改善はこれまでも繰り返し行われており、着実に給料は上昇しています。
しかし、実際に給料がどれくらい上がっているのかを把握している人は少ないのが現状です。
そこで、処遇改善加算の届け出を行った事業所で働く常勤介護士の給料の推移について紹介します。
【常勤介護士の給料推移】
介護士の給料が低いという声をよく聞きますが、実は最近では低いとは言えないほどに給料が上昇しており、厚生労働省の調査によると介護職員の平均給与は2012年から2022年の10年で約40,000円も増加しています。

※上記表「常勤介護士の給料推移」に関する数値は厚生労働省から出典
2012年度:厚生労働省「平成24年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要p7」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/13/dl/24gaiyou.pdf
2015年度:厚生労働省「平成27年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要p13」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/16/dl/27gaiyou.pdf
2018年度:厚生労働省「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要p10」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30gaiyou.pdf
2020年度:厚生労働省「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要p13」https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/20/dl/r02gaiyou.pdf
2022年度:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要p13」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/22/dl/r04gaiyou.pdf

2024年度以降介護士の給料はどれくらい上がる?

新しい「介護職員等処遇改善加算」は2024年6月から始まったばかりの制度で、介護士全体の給料がどれくらい上がるかはまだわかっていません。
しかし、この加算制度では「2024年度に2.5%、2025年度に2.0%の賃上げ」を目指しています。
具体例として、これまでの給料が約320,000円だった介護士が、このベースアップ率に従って給料がどう変わるか見てみましょう。
例:2024年→月給320,000円 × 2.5% = 8,000円 =月給8,000円アップ
年間にすると約96.000円と、およそ100,000円アップすることが分かります。

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4.介護士が給料を上げるための方法5選


介護業界の給料は、定期的に実施される賃上げ施策によって年々向上していますが、より高い収入を得るためには現場での努力も欠かせません。
ここでは、介護士がさらなる給料アップを目指すためにできる5つの方法を紹介します。

方法①夜勤の回数を増やす

給料をすぐに上げたい介護士は、 夜勤の回数を増やす ことで夜勤手当による収入アップを狙えます。
しかし、夜勤は身体的な負担が大きく、生活リズムが不安定になる可能性があるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
給料が上がっても、仕事以外の時間が充実しないとモチベーションが低下してしまうので、自身の体力と相談をしながら選択肢の一つとして考えましょう。

方法②1つの職場に長く勤める

介護士の給料は 勤続年数に応じて上がる傾向 があります。
パートやアルバイトで働き始めたとしても、1つの職場に長く勤めることでフルタイムの正社員を目指せます。
また、1つの職場で長く勤めることのメリットとして、業務の進め方が大幅に変わるといったことも少なく、職場での人間関係や利用者との関係も構築しやすいことが挙げられます。

方法③関連資格を取得する

介護士は無資格でも働けますが、 資格を取得する ことで資格手当が支給され給料がアップします。
厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格者では月給268,680円ですが、介護職員初任者研修修了者で月給300,240円、介護福祉士取得者で月給331,080円となっています。
資格を取得することで任せてもらえる仕事が増える上に、仕事の選択肢も広がります。
働きながら資格取得にチャレンジするのは大変ですが、取得できれば仕事や給料面で有利になるためチャレンジしてみましょう。

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方法④キャリアアップを図る

管理職へキャリアアップする ことで給料もアップします。
同じく厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、管理職の介護職員の平均給料は356,570円で、一般の介護職員の308,070円と比べると約50,000円の差があります。
管理職になるためには、実務経験や介護の知識だけでなくマネジメント力も求められます。施設ごとに条件が異なるため、事前に確認が必要です。
施設長や管理職になることで大きな給料アップが期待できるので、条件を確認しながらキャリアアップを目指してみましょう。

方法⑤より高い収入を得られる職場に転職する

資格やスキルを活かして転職をする ことで、給料アップを目指すことができます。
介護士の給料は、事業所を運営する会社や施設の形態、働く地域によって異なりますので、転職先を選ぶ際には労働時間や給料規程、福利厚生などをしっかりと確認しておきましょう。

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4.まとめ


今回は、2024年に介護士の給料はどの程度上がるのかについて、賃上げの施策だけに頼らず、資格取得やキャリアアップなどで収入をさらにアップさせる方法を交えて解説しました。
2024年2月から実施される介護報酬の賃上げ政策により、職員一人あたり月額6,000円の賃上げが決まりました。この施策は介護職員だけでなく訪問介護や看護助手、障がい福祉系の職員にも適用され、パート職員にも支給されます。
施策は2024年5月までの適用で、6月からは新たな「介護職員等処遇改善加算」が始まり、さらに2024年度に2.5%、2025年度に2.0%のベースアップも予定されています。
介護士がさらなる給料アップを目指すには、 夜勤の回数を増やす、1つの職場で長く勤める、関連資格を取得する、管理職にキャリアアップする、より高い収入の職場に転職すること などが挙げられます。自分に合った給料アップの方法を選択しながら、介護士としてイキイキと働いていきましょう。

この記事の監修者

三幸福祉カレッジ 編集部

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